定年前に知っておきたい「退職前の手続き」とは?健康保険・退職金・もらえる給付金まで解説
厚生労働省は、60歳となる労働者への高年齢雇用継続給付を2025年4月1日から縮小することを公表しました。縮小は段階的に進められ、最終的には制度そのものが廃止される方針です。 ◆退職金の税負担・高年齢雇用継続給付の支給率等を一覧表で掲載 そのため、60歳以上65歳未満の労働者は賃金が減少する可能性があり、これから定年退職を控えている方は高年齢雇用継続給付が廃止されることを踏まえて準備する必要があるでしょう。 本記事では定年退職前に申請しておきたい手続きを中心に、高年齢雇用継続給付金についても解説していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
定年前に必ず申請しておきたい「退職前の手続き」とは?
定年退職の前後には年金や退職金の手続きなど、やるべきことが豊富です。そのなかでも特に申請しておきたい健康保険について解説していきます。 健康保険の必要な手続きを怠ると、医療費の全額自己負担を求められるといったデメリットが生じるため注意が必要です。
定年退職後に加入できる健康保険制度の選択肢
定年退職後の健康保険の選択肢は主に以下の3つです。 1.国民健康保険 2.健康保険任意継続制度 3.被扶養者 それぞれの概要を簡単に紹介していきます。 ●国民健康保険 国民健康保険は、都道府県または市区町村が保険者となって運営している医療保険制度です。国民皆保険制度により、基本的に全ての人が加入できます。 保険料は前年の所得や年齢に応じて異なり、世帯主が保険料を納めます。算定方法については自治体ごとの条例によって定められているため、住んでいる地域で保険料が変わる点は注意が必要です。 なお、法令によって定められている世帯所得を下回る場合は、保険料が軽減される制度があります。退職後に安定した収入を得られる見込みがない方でも安心して加入できるのが特徴です。 ●健康保険任意継続制度 健康保険任意継続制度とは、会社を退職しても最大2年間は退職前に加入していた健康保険の被保険者になれる制度のことです。退職日までに2ヶ月以上の健康保険加入期間があれば、加入することができます。 退職前の保険内容を継続できるほか、扶養家族も同様の保険に加入できるのがメリットです。一方で、任意継続保険は事業主と折半で納めていた保険料が全額自己負担になるため、在職中に支払っていた保険料が2倍になります。 ただし、保険料には上限が定められていますので留意してください。 ●被扶養者 定年退職後の健康保険の選択肢として、配偶者や子どもなどの保険に扶養加入することも挙げられます。家族の扶養に加入できれば、所得控除を受けられるのがメリットです。以下、扶養親族の年齢などによる控除額です。 ・一般の控除対象扶養親族:38万円 ・特定扶養親族:63万円 ・老人扶養親族(同居老親以外):48万円 ・老人扶養親族(同居老親等):58万円 ただし、被扶養者になるには年収130万円未満、60歳以上の場合は180万円未満である必要があります。加えて、被扶養者の年収が被保険者の1/2未満でなければなりません。具体的な条件は加入している健康保険によって異なるため、事前に確認しておくのが大切です。 次に健康保険ごとの手続き方法とタイミングについて確認していきましょう。 ●健康保険の手続き場所と申請期限 【国民健康保険】 ・手続き場所:居住している市区町村役場 ・申請期限:退職日の翌日から14日以内 【健康保険任意継続制度】 ・手続き場所:居住している地域の協会けんぽ支部 ・申請期限:退職日の翌日から20日以内 【被扶養者】 ・手続き場所:被保険者の勤務先 ・申請期限:事実の発生から5日以内 次章では退職金の受け取り方について解説します。