「世界の行くべき旅先」に富山市 NYタイムズ52選の30番目、おわらやガラス美術館紹介
米有力紙ニューヨーク・タイムズ電子版は7日、世界の旅行先で「2025年に行くべき52カ所」を発表し、30番目に富山市を選んだ。同市の魅力を「混雑を回避しながら、文化的な感動とグルメを楽しめる」と評価。八尾町中心部の伝統行事「おわら風の盆」や現代ガラス芸術の拠点である市ガラス美術館(西町)、市中心部の飲食店5カ所を紹介している。日本国内で選ばれたのは富山市と大阪市(38番目)の2都市。 記事では富山市を「2024年に地震と集中豪雨で甚大な被害を受けた能登半島の玄関口で、復興途上にありながらも観光客を魅了している」と説明。胡弓(こきゅう)や三味線の哀愁を帯びた調べに合わせ、編みがさを目深にかぶった男女が舞う秋の風物詩「おわら風の盆」を取り上げた。建築家の隈研吾氏が設計し、市ガラス美術館や市立図書館が入る「TOYAMAキラリ」については、「木と光でそびえ立つ大聖堂」と評した。 関係者からは驚きと喜びの声が上がった。おわら風の盆行事運営委員会の金厚有豊会長は「ただ観光客が増えればいいというわけではないが、リピーター獲得のきっかけにもなり、取り上げてもらえたことはありがたい」と話した。
記事で紹介された市内の飲食店5店は、喫茶店「珈琲駅ブルートレイン」(鹿島町)、カレー店「スズキーマ」(西町)、ワインバー「アルプ」(総曲輪)、おでんが有名な居酒屋「飛弾」(上本町)、バー「ハナミズキノヘヤ」(南田町)。 珈琲駅ブルートレインは1980年創業。外国人を含めて県内外から客が訪れ、同紙は「鉄道模型に囲まれてコーヒーを飲める」と記した。店を営む中村正陽さんは「模型とコーヒー、会話を楽しんでほしい」と表情を緩め、妻の晴子さんは「びっくりした」と声を弾ませた。スズキーマの店主、鈴木崇之さんは「非常に光栄。うれしさもあるが、これまで通り地元の人に楽しんでほしいという思いは変わらない」と語った。 ニューヨーク・タイムズの電子版と紙面を合わせた購読者数は昨年11月時点で1109万部。毎年、旅行先に勧める世界の各地を発表している。今年選んだ大阪市は4月開幕の大阪・関西万博、JR大阪駅北側の再開発区域「うめきた2期(グラングリーン大阪)」の開業などを取り上げた。トップには作家ジェーン・オースティンの生誕250周年を迎え、関連イベントが開かれる出身地の英イングランド南部を挙げた。