【安田記念】ジオグリフ木村調教師が教えてくれた「面白い競馬の見方」/新人記者のトレセン日記
[GⅠ安田記念=2024年6月2日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝1600メートル] 美浦トレセンで記者生活をスタートして3週目の新入社員、栗栖歩乃花です。今回は安田記念に出走する、栗毛とおでこのダイヤ形の流星がかわいいジオグリフに注目。管理する木村調教師にいろいろお話をうかがいました。 まず気になったのはコースや馬場への適性についてです。ジオくんが東京競馬場の芝コースを走るのは約1年半ぶりなのですが、木村師によると「東京芝が他のコースに比べて得意というわけでもないですし、コースの形態とか芝の状態で(パフォーマンスに)変化が生じる馬でもないです。重馬場も、好きではないけど特別にネガティブにはならないです」とのこと。ダービーと天皇賞・秋は結果が出ませんでしたが、特に心配しなくて良さそうです。 ジオグリフという名前がすてきだなと思い意味を調べてみると「地上絵」という由来がありました。地上絵には謎がいっぱいありますが、ジオくんにもミステリーな一面があるのでしょうか。 「子供のころから喉の形状がアスリートとして恵まれていないんです。『早く手術しないとダメだろうな』と思っていたのですが今日まで手術をしないで頑張ってくれたんだよ。初めから決めつけてはいけないなぁ」。手術をしなくても走り続けられる体…こういう“ミステリー”もあるんですね。 続いて、ジオくんには競走馬としてどんな強みがあるのか聞いてみると、「故障しないんだよ! 着順が悪いこともあるけど、どこを痛めたとかはなくて。ずっと健康できてくれたんだ」と笑顔の木村師。その秘訣は、ジオくんに関わる多くの人の力だと言います。「牧場の方も熱心に管理してくれていますし、厩舎でもトラブルや見落としがないように早期発見・早期治療をできるようにしている。人間の子供と同じだよ」。わが子のようにジオくんを見ながら話す木村師の優しい顔は父親そのものでした。 それだけ愛情を注がれているジオくんはトレーナーが近くに来たことに気づいているのかも気になりました。「ジオグリフだけではなくて他の馬も気づいていて、嫌そうな顔してるよ(苦笑)。でも、厩舎のことは信用、信頼してると思う。居心地よく健やかにしてくれているんじゃないかな」 馬に対してとても優しい木村師は競馬初心者の私に面白い競馬の見方も教えてくれました。「馬は競馬って理解していると思うよ。ゴールして終わったことも分かっている。耳をよく見てみて」。例に挙げてくださったのは管理していた世界ナンバーワンホース・イクイノックス! 「特にわかりやすいのは有馬記念。ゴールするまでは耳を後ろに伏せているけど、ゴールしてルメール騎手が追うのをやめるとパッと耳を立てるんだよ。そういうのを見てみるのも面白いかも」 そのイクイノックスを破ったこともあるジオくんが安田記念ではどんな走りを見せてくれるのか、ゴール後の耳の様子ともども、レースが楽しみです。
栗栖 歩乃花