共働き家庭の苦悩「不登校の子をひとりにするのが心配」…中学3年生の娘が学校に行けるようになった〈たった1つの親子の約束〉【ライフキャリアコンサルタントの助言】
子どもが不登校になったときの解決事例
先述した相談内容の「中学生の子が不登校になり、ひとりにするのが心配。でも仕事には行かなければならないが、どうしたらよいか」に対して、2つの例(相談例は複数の相談事例から紡ぎ出したフィクションです)を紹介しましょう。 心が不安定になり、不登校になった中学3年生の女の子 1つ目は、仕事のペースを変えず、あることをしたことで、子どもの心が安定していった例です。 中学3年生の女の子。原因はよくわからない状態で、少しずつ学校へ行けなくなっていきました。 子どもからいろいろと話を聞いたスクールカウンセラーが立てた仮説は、「母親が仕事をして家にいないことについては、まったく気にしていない。一緒にいてほしいとも思っていない様子。 しかし、小さいときに親が行き先を告げずに外出することがあり、それがとても不安でこわかったという話をしていた。そのことから、いるかどうかではなく、不安を感じたときに親と話ができたり、親は必ず帰ってくるといった安心感が得られれば心が安定してくるのではないか」といったことでした。 母親はいままでどおり仕事に行くことにします。「親がどこにいるか、何時に帰ってくるかわからない不安」から少しずつ心を解放するために、「家にいる子どもから連絡があったときは可能な限り対応する」「退社時には必ず親から帰ることを連絡する」といった方法を取ったようです。 子どもが親と話したいと思えば、いつでも話せる。親は自分の目の前にいなくても、仕事中も自分のことを気にかけているのを感じることで、子どもの心は少しずつ安定するようになっていきました。 その結果、子どもからの連絡の頻度が少しずつ減り、連絡自体がなくなり、そのうち学校にも行けるようになりました。 不登校から問題行動にまで発展した、中学1年生の男の子 2つ目は、仕事をセーブし、子どもと一緒の時間を増やすことで、子どもの行為がエスカレートしなかった例です。 中学1年生の男の子。小学校のときから学校を休みがちで、中学生になってからはまったく行けなくなりました。母親はシングルマザー。仕事を辞めるわけにはいかないので、不登校になっても生活を変えられませんでした。 そして、不登校から万引きにまで問題行動は発展。スクールカウンセラーにも話をしない、心を閉ざしてしまい、待ったなしの状態です。母親は覚悟を決め、お子さんと向き合うために職場へありのまま状況を話し、在宅勤務や勤務日数を減らすなどの対応を得ることができ、できるだけ家にいるようにしました。 すると、家庭内で同じ空間を過ごすことによって、些細なことでも話す機会が得られるようになり、問題行動がエスカレートすることはありませんでした。このように、対処法は家庭によって違います。上手に相談機関を利用しながら対応方法を考え、乗り越えていきましょう。 江野本 由香 ライフキャリアコンサルタント ※本記事は『キャリアと子育てを両立する!自分と家族の価値軸で築く幸せな生き方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
江野本 由香