モンテヴェルディが作曲した、“現存する最古のオペラ”『オルフェオ』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
モンテヴェルディ オペラ『オルフェオ』 現存する最古のオペラに思いを馳せる
今日5月15日は、初期バロックを代表する作曲家モンテヴェルディ(1567~1643)の洗礼日です。 モンテヴェルディが生きた時代は、オペラの誕生に象徴されるような新しい様式が生み出された激動期にあたります。彼の才能は、あらゆる語法を駆使しながら、言葉の持つ表現力を音楽によってさらに高めることにあったようです。その結果は、1607年に初演された“現存する最古のオペラ”『オルフェオ』に結実したのでしょう。 それにしても、『オルフェオ』のストーリーが、日本最古の歴史書『古事記』に描かれた「イザナキとイザナミの物語」にそっくりなことに驚きます。8世紀のはじめに編纂されたとされる『古事記』と、古代ギリシャに伝わる伝承文化である『ギリシャ神話』とのつながりは不思議の極み。 もしかしたら宇宙人の仕業ではないかと想像したくもなりますが、実際には、古代ギリシャ人と密接な関係を持っていたイラン系騎馬遊牧民族スキタイ人による影響が、朝鮮半島を経由して日本にまで届いたと考えるのが妥当なようです。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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