「お父さんってラクすぎる~!」仕事して帰ってきても寝かしつけだけ。もしも妻が夫と役割交替したら?【書評】
立場・役割が変わると人は簡単に馴染んでしまう。こうはなりたくない、そんな目で見ていたはずの「昭和のお父さん」や「フラリーマン」になってしまっている自分。女性でも立場が逆転するとそうなってしまうものなのかと思わされる。 気まずさや不安を抱えながらも変わらないふさ子。その姿を見ていると、性別ではなく立場や役割が作り上げているものがいかに大きいかを教えてくれる。「大黒柱妻」になったふさ子は、このまま世に言う“お父さん”になってしまうのだろうか?
実際相手の立場になってみたからこそ見えてくる感情や行動を、内面と向き合い分析して描く田房節で、共感とくすりと笑える魅力たっぷりに描いた本作。役割を交替してみるという決断をし、実行した夫婦の壮大な実験に、自分たち夫婦・家族の最適解を問いたくなる。 どちらのこともわかるハイブリッド夫婦は、どんな夫婦のカタチ・家族のカタチを選ぶのか。気がついた大事なこととは何なのか。手にとって見届けて欲しい。 文=ネゴト/ Ato Hiromi