老後生活は支出コントロールが肝心 無駄なリフォーム、買い物を防ぐには?
無駄遣いを防ぐキーワードは「それが必要かどうか」
そんな検討の中で、リフォームを機に子どもたちが独立して使われていなかった2階の部屋を書斎にしようと決めました。私が退職して起業した後は書籍やコラム原稿など、家で執筆する仕事が中心となってきたからです。私のところは娘2人でしたから、子ども部屋はいかにも女の子らしい、花柄の壁紙の部屋です。そんな部屋をリフォームするにあたっては、「どんな書斎にしようか」と夢が膨らみました。「机はマホガニー? 壁紙は英国調のシックなのがいいな」などと勝手に妄想を膨らませていましたが、妻からの冷静なひと言「別に変える必要はないでしょう。変えたからと言って良い原稿が書けるの? ずっとパソコン相手に原稿書いてるんだから壁紙変えたって同じでしょ」と言われて、ふと我に返りました。くやしいけどその通りです。豊富に予算があればそれもいいでしょうが、限られた予算でやるためには、優先順位が大切で、その時に最も大切なキーワードは「それが必要かどうか」ということです。 ただ、これはリフォームだけに限りません。お金を使うとき、ものを買うとき、それが高額であるほど、“よいかどうか”で決めるべきではありません。よいかどうかで考えたらそれは、よいに決まってます。大切なことは、「なぜ、それを買う必要があるのか」、「それが本当に必要なのかどうか」を考えることです。 いくらお金を稼いだり貯めたりしても、出るほうをきちんとチェックしていかなければ何にもなりません。老後資金の作り方は“出ずるを制す”方から始めていったほうがよさそうです。 (経済コラムニスト・大江英樹) 日本証券アナリスト協会検定会員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行動経済学会会員。著書に『定年楽園』『その損の9割は避けれる』(三笠書房)『老後貧乏は避けられる』(文化出版局)『はじめての確定拠出年金投資』(東洋経済新報社、6月10日に発行予定)がある。