米政府、日本へKC-46A最大9機売却承認 空中給油機
米国政府は現地時間9月13日(日本時間14日)、日本政府へ最大9機の空中給油・輸送機KC-46A「ペガサス」をFMS(対外有償軍事援助)により売却することを承認した。売却総額は推定41億ドル(約5775億円)となる。 【写真】世界一周45時間の無着陸飛行に成功したKC-46A FMSによる売却が承認されたのはKC-46Aが最大9機のほか、米プラット・アンド・ホイットニー製エンジンPW4062が最大18基、AN/ALR-69Aレーダー警報受信機(RWR)が最大16基など。インド太平洋地域の政治的安定や主要同盟国の安全保障を向上させることなどを狙いとしている。 KC-46Aは、旅客機の767-200ERを母機とした空中給油・輸送機で、ボーイングは米空軍向けに179機の製造を計画。航空自衛隊は2021年度から運用試験を実施し、今年度から本格運用を始めた。 これまでに6機を発注済みで、2021年10月に初号機が引き渡され、今年3月末時点で4機を受領済み。2025年度予算の概算要求では、新たに4機分2068億円を計上している。 KC-46Aのコックピットは民間機の787と同様に15インチ・ディスプレイを装備し、最大離陸重量は41万5000ポンド、搭載燃料は21万2299ポンドで、空中給油のほか、輸送機として人員や物資、負傷者を運べる。 給油対象は空自機のほか、米空軍と海軍、海兵隊の航空機。給油方式は、米空軍機が採用するフライングブーム方式のほか、米海軍・海兵隊機のプローブ・アンド・ドローグ方式の2形式に対応している。ブームはフライ・バイ・ワイヤ方式の最新型で、給油オペレーター席には24インチの高解像度3Dディスプレイが設置された。また、前部胴体上部には自らブーム方式で給油を受けられる給油口を備える。 地上旋回半径は39メートルで、標準的な幅45メートルの滑走路で180度旋回が可能。ボーイングでは、離島のように小規模な飛行場にも展開できるとしている。 ボーイングは、米空軍や空自などのKC-46Aをワシントン州シアトル近郊のエバレット工場で製造。767をベースとするKC-46Aの機体構造の16%は、日本のサプライヤーが生産を担っている。
Tadayuki YOSHIKAWA