東部ポクロウシク方面で新たな危機、ウクライナ軍部隊数百人が包囲されるおそれ
「秋までに前線の安定化は可能」とする楽観的な見通しも
ロシア軍の前進が実際に鈍っているのだとすれば、それは当然とも言える。ロシア軍は今年2月中旬にアウジーウカを陥落させたあと、ポクロウシク近郊まで30キロメートルあまり西進してくる過程で、膨大な人的損害を出しているからだ。死者、重傷者、捕虜の数は合計で数万人にのぼる可能性もある。ロシア側の兵力は依然としてウクライナ側の4倍はあるとみられる一方で、こうした損害は攻勢の勢いを削いでいる。 とはいえ、ポクロウシク周辺のウクライナ軍陣地は脆弱だ。ウクライナ軍参謀本部はポクロウシクの防衛と、8月上旬に奇襲攻撃で始めたロシア西部クルスク州への侵攻という、少なくとも2つの主要な作戦の微妙なバランスをとっている。 ウクライナ軍の兵力に余裕はない。そのため、4個旅団の一部を突出部で失えばウクライナ側にとって破滅的な事態になりかねない。逆に、半包囲されかけているこれらの部隊が無傷で退却できれば、防御線を整理・短縮し、堅固にできる可能性がある。 これはおそらく、ポクロウシク守備隊にとってもっとも望ましいシナリオの前提条件だろう。CITはポクロウシク正面について「秋までに前線を安定化させることが可能」との見方を示し、「ロシア軍が攻撃能力を使い尽くしたあと、前線は膠着状態になる可能性が高い」としている。
David Axe