年を重ねて骨が強くなる人はいない…骨粗しょう症になりやすい7大「生活習慣病」の恐怖
不眠症も骨粗しょう症を招く
(3)慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は骨折のリスクを高める代表的な生活習慣病の1つと考えられています。骨折リスク上昇には、骨密度の低下と骨質劣化の両方が関与しています。 慢性閉塞性肺疾患の患者255人について調べた研究によると、骨密度のみを用いた診断では骨粗しょう症は23.6%でしたが、実際の椎体骨折は36.5%であったことから、慢性閉塞性肺疾患の患者さんの骨折には、低骨密度に加えて骨質劣化が大きくかかわっていることが示唆されました。 慢性閉塞性肺疾患の方では、「高齢」「喫煙」「低体重」「身体活動(安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費するすべての動作)低下」といった一般的に骨折リスクを高めるとされる因子に加え、ビタミンD不足・欠乏やサルコペニア(加齢による筋肉量の減少および筋力の低下)などによって、骨折リスクがさらに上がる可能性があります。 (4)高血圧、動脈硬化 高血圧では、大腿骨近位部骨折のリスクが1.19~1.6倍に、骨粗しょう症性骨折のリスクが1.3倍に上昇し、その関連性は男性よりも女性で強いことが報告されています。 また、心筋梗塞・脳梗塞などの心血管疾患は動脈硬化が原因で発症しますが、動脈硬化を起こしやすくするのが、高血圧・脂質異常症・骨粗しょう症で、発症の仕組みが一部共通することから、心血管疾患と骨粗しょう症の関連性は大きいと考えられています。 (5)睡眠障害(不眠症) 睡眠障害も骨量減少に関与することがわかっています。 不眠症にともなう夜間の成長ホルモン分泌低下に加え、メラトニンの低下によって破骨細胞の作用に抑えが利かなくなることで骨量が減少します。さらに不眠症によって、炎症性サイトカインの分泌が亢進されることも骨量減少を招きます。 良質の睡眠が確保されている場合には、交感神経系の活動は低下し、骨・筋肉の新陳代謝が順調に起こります。しかし、不眠症になると、交感神経系が絶え間なく活性化され、骨の新陳代謝が低下して、結果的に骨量が減少します。 また、不眠と転倒リスクは大いに関連があり、睡眠薬を服用していなくても、不眠症患者では転倒リスクが52%も上昇します。骨折の直接の原因となる転倒の4分の1は、眠れないことから歩き回ってしまうことが多い、夜間に起きています。