女房役は一時、大谷翔平とのトレード候補に、監督はMLBの野村克也…メッツ・藤浪晋太郎を支える仲間たち
NYは藤浪に合っている?
メッツ・藤浪晋太郎(29)が「家庭の事情で数日間チームを離れる」と、メッツ公式サイトのディコモ記者がXで報道したのは23日(現地時間)。昨年とは所属チームが変わったため、就労ビザの書き換えが必要になる。そのため、在日米国大使館で手続きをする必要があるという。 【写真】藤浪を絶賛した女房役・アルバレスはどんな人(ニューヨーク・メッツの公式Instagramより)
藤浪が2度目のブルペン入りをしたのは2月20日(同)。約40球の投球練習を行った。すでに変化球を織り交ぜたピッチングも始めており、調整はハイペースで進められているようだ。 「ロッカーは千賀滉大(31)の隣ですが、捕手のフランシスコ・アルバレス(22)やセットアッパーの座を争うジェイク・ディークマン(37)とも楽しそうに会話をしていました。メッツは昨季のチーム低迷でだいぶ選手が入れ替わりましたが、千賀よりも馴染んでいる感じもしました」(米国人ライター) 藤浪は入団会見で「枠(開幕ロースター)を争わなければならない」と語っていたが、投手陣の補強に関しては、メッツは決して“勝者”とは言えない。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」は「質よりも量。無名の集まり」と酷評したくらいだ。ただし、いまのところマウンドで100マイル(約161キロ)超えの速球を投げ込んでいるのは、藤浪だけ。ウラを返せば、藤浪がブルペンリーダーとなる可能性を秘めているともいえる。 「メッツの本拠地、ニューヨークの野球報道は辛口で有名です。好プレーをして当然、ファンの期待を裏切るようなミスを連続したら、メチャクチャに叩かれます。その厳しさに耐えられるかどうかという心配はありますが、メッツの環境、選手間の雰囲気は藤浪に適していると思います」(前出・同)
“女房”から絶賛された!
「ボールに力強さがあった。スプリットが良かったし、キャンプが終わる頃にはもっと制球も良くなっていると思う」 これは、2度目のブルペン入りをした際にパートナー役を務めたアルバレスの言葉だ。共同会見で出たコメントなので日本のスポーツ新聞各紙でも引用されていたが、「アルバレスが発した」というのは実は非常に意義深いのである。 「今季からメッツは育成に舵を切りました。そのため、今オフに獲得した補強選手は例外なく1年契約です。その若手による近未来の新チームの象徴的存在が、アルバレスなんです」(地元メディア関係者) 昨季途中から正捕手に上り詰め、7月の活躍(8本塁打、16打点)で「ルーキー・オブ・ザ・マンス」を受賞したアルバレスは「超」の付く強肩で知られる。メッツでは早くからトップ・プロスペクト(若手有望株)と見られていたが、メジャー30球団でも上位にランキングされており、昨季は初見で千賀のお化けフォークをきっちり捕球し、さらに評価を高めた。 昨シーズンの球宴前、エンゼルスが大谷翔平(29=現ドジャース)の慰留交渉を諦め、交換トレードに出すといった情報が流れた。この時、メッツ側が「複数のトップ・プロスペクトを出す。アルバレスもだ」と連絡し、エンゼルスが一時は真剣に検討したという。この話は後日、メッツ、エンゼルス双方のスタッフが認めている。アルバレスはそれほど価値のある選手ということだ。 「アルバレスの若さゆえだと思いますが、バーランダー(41=現アストロズ)や、シャーザー(39=レンジャーズ)にマウンド上で言い返す場面がありました。メジャーを代表する大先輩に対し、臆することなく意見を言える捕手が、藤浪の投球を受けて『良かった』と褒めたんです。お世辞ではなく、本当に良かったんでしょう」(前出・同) アルバレスに認められた藤浪が最後を託すクローザーが、プエルトリコ出身のエドウィン・ディアス(29)だ。ディアスはメジャーを代表するクローザーである。一昨年、リリーバーとしては史上最高額となる「5年1億200万ドル(約136億円)」の大型契約を結んだが、その約2ヵ月後に行われた第5回WBCで右膝の膝蓋腱断裂の大怪我を負ってしまった。 「一次予選のドミニカ共和国戦後に登板し、三者連続三振でゲームセット。チームメイトと抱き合って喜んでいた際、急に顔をしかめて倒れ込んでしまったんです。WBCの開催意義が再び問われるきっかけともなりました。昨季終盤、投球練習を開始するまでには復調しましたが」(前出・同) 再び膝を傷めないよう、慎重な調整が続けられている。 「弟のアレクシス・ディアス(27=レッズ)もクローザーなんです。地区が異なるとはいえ、ポストシーズンでリーグ覇者を争う関係になるかもしれないのに助言を送り、『お互い、結果で勝負しよう』と言い合っています」(前出・同) マイナー時代に結婚し、22歳でパパになった。野球に関しては真摯に向き合う独自のピッチング理論を持っている。球種は真っ直ぐとスライダーしかない。スライダーの曲がり加減はたしかにエグイ。だが、1種類の変化球だけでトップ・クローザーに上り詰めた勝因は“プラス思考”にある。隔年で活躍する傾向もあるが、「スライダーと真っ直ぐの割合を変えればいい、精度を上げればいい」と考えてきた。