被災地へドローン迅速派遣、全国からニーズに合った機体や操縦士を事前に登録…能登地震教訓に
ドローンの普及に取り組む一般社団法人「日本UAS産業振興協議会(JUIDA)」(東京)は、災害時にドローンを迅速に活用するための体制作りに乗り出す。1月の能登半島地震で初動が遅れたのを教訓に、災害時に派遣可能な全国各地の機体をあらかじめ登録し、速やかに被災地に送り出せるようにする。運用にあたる民間防災組織を近く設立する。 【写真】ドローンで川の被害状況を調べる国土交通省の職員ら
JUIDAによると、能登半島地震では、ドローンを扱う計約30の企業・団体が地震から約1か月間、石川県奥能登地方に入り医薬品の輸送や家屋の被害状況の把握などを担った。だが、対応可能な企業・団体の選定や自治体との調整に時間を要し、実際にドローンを飛ばして活動を始められたのは地震から4日後だった。
これを踏まえ、JUIDAは災害派遣の調整役を担う民間防災組織を新たに設立する。ドローンを所有する全国の企業・団体に派遣可能な機体の登録を呼びかけ、被災自治体からの要請に応じ、利用目的に合った機体や操縦士を迅速に派遣できるようにする。行方不明者の捜索や被災状況の調査、物資の輸送などの利用を想定し、参加企業・団体による合同訓練も行う。
自治体とは機体や操縦士の派遣に関する協定の締結を進めており、国との協力も検討する。JUIDAの嶋本学参与は「能登半島地震はドローンの災害活用の可能性が示された一方、課題も見えた。全国どこでも人命救助や被災者支援に貢献できる体制を目指したい」と話す。