スポーツ賭博にまつわる報道続く中、選手への脅迫や殺人予告が横行との選手証言 MLBの対策は
MLBでスポーツ賭博に関する話題が続いている。ドジャース大谷翔平投手(29)の元通訳・水原一平被告(39)が違法スポーツ賭博の巨額借金で銀行詐欺などで訴追された一連の事件から始まり、大谷のエンゼルス時代の同僚でブレーブス傘下マイナーに所属するデービッド・フレッチャー内野手(30)に違法スポーツ賭博の疑いが浮上。さらに元パドレスのトゥクピタ・マルカノ内野手(24)が野球賭博で永久追放処分となり、複数のマイナー選手も違法賭博で1年間の出場停止処分を受けた。さらにその10日後の6月14日にはパット・ホバーグ審判員が賭博規定違反をしたとしてMLBから処分が発表されている。 そんな中、ここにきてショッキングな報道が出て話題になっている。スポーツ賭博にはまった野球ファンが、自分の負けを選手のせいにし脅迫や殺人予告をしてくる例が少なくないという。USAトゥデー紙の名物記者ボブ・ナイチンゲール記者が6月9日付の記事で伝えたもので、複数の選手が証言。ダイヤモンドバックスの救援右腕ポール・シーウォルド(34)は「セーブに失敗したり打たれて試合を壊すと罵倒され、お前のせいで金を全部失ったと攻撃される。家族ともども皆殺しにてやると言われる」と明かし、同僚の救援左腕ローガン・アレン(27)も「ひどく打たれて球場を出たら男から家までつけられて、その間にずっとののしられ、オレの金をどうしてくれると言われたことがある」と話している。 選手に対する脅迫や殺人予告騒動は、今に始まったことではない。黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンはメジャーデビュー当初、脅迫状を受け取ったし、カル・リプケン・ジュニアがルー・ゲーリッグの2130連続試合出場の記録を破るときにも殺人予告を受けた。しかしそんな騒動は、昔は一部の有名選手に限られていた。 米国でスポーツ賭博合法化が進んだ今は、あらゆる選手が危険にさらされている。賭博合法化に加え、SNSの普及で一般の人たちが選手にアクセスしやすくなったため罵倒の言葉や脅迫を簡単に直接伝えられる環境になっていることもこの状況に拍車をかけている。 注目されるのは、大リーグ機構の今後の対応だ。MLBは収益を伸ばすために積極的にスポーツブックメーカーと提携し、球場にスポーツブック店舗を設置することも解禁された。自らスポーツ賭博を推進したことで選手を危険にさらすことにつながってしまっていることを、MLBは今どう考えているのだろう。すでに選手会が懸念を示しているが、何か対策に動かなければそのうち大きなトラブルが起こるのではないかと心配になる。