後閑信吾(バーテンダー)と“美ちゅらな風味”を求めて琉球ワンダー。「瑞穂酒造」──特集:クルマとともに旅に出よう2024
旅の季節が今年もやってきた。クルマは、我々を見知らぬ土地へ誘う。かつての若きジェントルマンは旅を通し、見聞を広め、人生を豊かにしてきた。GQ JAPANはこの秋、千葉、丹波篠山、沖縄、北海道の新しい旅を提案する。クルマを相棒に、いざ、グランドツーリングへ。 【写真を見る】それぞれのプライスとディテールをチェック!
沖縄が誇る黒糖のポテンシャル
首里|瑞穂酒造 ■太陽と海からのインスピレーション 「今年はまだ日本に30日程度しか滞在していない」という後閑信吾。「The SG Tavern」(東京・丸の内)をベースとしながらも、上海やNY でバーを展開。ここ数カ月だけでも香港やマドリード、そして丸の内への出店や、海外のバーでのゲストシフト……まさに八面六臂の活躍でグローバルに飛び回る。日本の、いや、世界のバーシーンを牽引していくバーテンダーである。 そんな多忙を極める彼が、ふとぽっかりと空いた2日間で向かったのは沖縄。那覇市内にも彼が拠点とするバーがあるため、これまでは国際通り周辺の繁華街で過ごすことが多かったそうだが、今回はフォルクスワーゲン「ID.4」で近郊まで軽快に足を伸ばした。 探し求めるのは、次なるカクテルや新店舗につながるような美ちゅらな香りや味わいへのアイデア、そして何事にもとらわれず自身を解放することができる時間だ。南国の太陽と海から得られるインスピレーションのシャワーが後閑を待ち受けている。 那覇空港に降り立ったその足で向かったのは、首里最古の泡盛の蔵元である「瑞穂酒造」。この日、後閑らSG Groupと共同開発している蒸留酒の仕上がりをチェックしたいのだという。琉球泡盛と沖縄黒糖でつくる世界初の黒糖リキュール「KOKUTO DE LEQUIO」は、600年もの歴史を持つにもかかわらず世界にほとんど知られていない泡盛と、生産余剰による在庫問題が深刻な黒糖を掛け合わせ、沖縄の社会課題をも解決しようという画期的なプロジェクトだ。 昨年のリリースから、今春にはシークヮーサー、月桃、ピパーチなど沖縄らしいスパイスを加えた第2弾を発売。そして9月に発売された新作の最終チェックに訪れたこの日……「アーサをね、ボタニカルとして漬け込んでみたんですけど、どうかなと思って」。え、あの海藻の⁉聞けばアーサは収穫期が限定されているため、その後の保管中に価値を失い、廃棄せざるを得ない実情があるのだとか。これら廃棄予定だった恩納村のアーサをキーボタニカルに、さらに伊平屋島のヒレザンショウとハマボウフウをプラスした新作の味わいはいかに? ■瑞穂酒造 琉球王朝の最後の王である尚泰王即位の年、1848年に首里で創業。人、自然、微生物と共生しながら、沖縄だからこそできる酒づくりに、積極的にチャレンジしている。 住:沖縄県那覇市首里末吉町4-5-16 TEL:098-885-0121 URL:https://mizuhoshuzo.co.jp/ ■後閑信吾(ごかん・しんご) 1983年生まれ、神奈川県出身。2006年に渡米、NY のバーで活躍し、国際コンペティションでの優勝も経験したのち、上海でバーを開店。現在、東京で「The SG Club「」ゑすじ郎「」æ「」The SG Tavern」、那覇で「El Lequio」を運営するほか、NY、香港、マドリードでバーを展開。好きな言葉は「士魂商才」。
写真・福田喜一 文・秋山都 イラスト・尾黒ケンジ 編集・岩田桂視(GQ)