「ノーベル平和賞受賞決定」から３日間の広島の様子を、被爆者の声とともに振り返ります。 【日本被団協・箕牧智之代表委員】 「３４万人の被爆者の方が眠っておられる慰霊碑の前に参りました。ノーベル平和賞を頂くことになりました。私達は核兵器廃絶をあきらめません」 １３日、花束を手に原爆慰霊碑を訪れた県被団協・箕牧智之理事長。 長年活動を共にし志半ばで亡くなった歴代の理事長らへノーベル平和賞に選ばれたことを報告しました。 先週金曜日。 「今年のノーベル平和賞は『日本被団協』」 被爆者などでつくる全国組織・日本被団協は、６８年にわたり核廃絶を一貫して世界に発信し続けてきたことが評価され、今年のノーベル平和賞に選ばれました。 「号外です」 広島市内では受賞発表を伝える号外が配られ、手に取った人からは喜びの声が聞かれました。 【街の人は】 「素晴らしいと思います。色んな地域で戦争や紛争のニュースを聞くのでそういったことが減っていくきっかけになったらいいと思う」 一夜明け取材に応じた被爆者団体の佐久間理事長は被爆８０年に向けた決意を新たにしました。 【もうひとつの県被団協・佐久間邦彦理事長】 「どういう社会がいいのかということを（各国の為政者に）もう一度考え直してほしい。今のままでいいのかということを改めて問われていると思いますね」。 外国人観光客からも核廃絶に向けて期待を寄せる声が聞かれました。 【アメリカから】 「かつて広島に原爆が落とされたとうことを人々は忘れています。しかし、今回の受賞はそれを絶対に忘れてはならないということを思い起させました。世界の為政者には原爆資料館を見てもらいたい。見る必要があります」 【カナダから】 「残念ながら世界では人間性を見失っている人々がいて、今後大きな改善が見られるとは思いません」 岸田文雄前総理もＳＮＳでメッセージを寄せました。 またＧ７広島サミットで広島を訪れたバイデン大統領は…。 「アメリカを代表して祝福する。私たちは、世界から核兵器を最終的かつ永遠に廃絶するその日を目指して前進を続けなければならない」との声明を発表しました。 そのアメリカでも… 【古賀記者】 「日本被団協の平和賞受賞のニュースはアメリカの大手メディアも大々的に報じています」 ニューヨーク・タイムズは世界で核の脅威が高まる中、今回の受賞は「国際的な新たな懸念を反映している」と報じています。 海外メディアも注目する中、この日、イギリスのロイター通信が取材していたのは、５年前から証言活動を続ける被爆者の八幡照子さんです。 【８歳の時に被爆・八幡照子さん】 「世界が平和賞に注目しているのがとてもうれしかったです。やはり…亡くなった人たちに（受賞決定を）伝えることができたらなと思いますね」 八幡さんは、今後証言活動の際にノーベル平和賞の内容も加える予定です。 【８歳の時に被爆・八幡照子さん】 「話したいと思います、平和賞もらったということを。子供たちにも」 受賞決定の一報を受けても、いつもと変わらず証言活動を続ける被爆者の姿も。 原爆ドーム前で１８年にわたり英語でガイドを務めている体内被爆者・三登浩成さん（７８）。 【三登浩成さん】 「自分がやっとること（証言）が認めれらたということじゃないですか。ノーベル平和賞の中で、そう言っとるんじゃないですか。私は全然変わらんよ。私がやっとるのは正しかったんだから、それを続けるんでしょ」 １４日の平和公園では。 【高校生】 「署名活動へのご協力、よろしくお願いします」 先人たちの地道な活動をそばで見続けてきた高校生たち。 ノーベル平和賞受賞決定の知らせに背中を押されたといいます。 【高校生平和大使・ＡＩＣＪ高校２年　沖本晃翔さん】 「僕たち被爆者の生の声を聞いた世代が、今度は教わる側ではなくて教える側、受け身からのシフトを大事にして、被爆の実相を次の世代へ、世界へ広げていきたい」 世界情勢が混とんとする中、ノーベル平和賞が「核なき世界へ」の長い道のりに射し込む一筋の光となるのでしょうか。