食事減らし家族みんな痩せた、エアコン節約で子どもが熱中症に 物価高で窮地のあしなが奨学生家庭
物価は上がるのに収入は低迷し、もはや食費を削るしかない―。一般財団法人あしなが育英会(東京)が、奨学金を受け取る子どもの家庭に物価高の影響を尋ねたところ、そんな窮状が明らかになった。子どもの学びを後押しする支援が求められる中、奨学金の原資を募る「あしなが学生募金」が19日、広島県など全国で始まる。奨学生も街頭で支援を訴える。 【画像】あしなが学生募金への協力を呼びかける高校生 あしながの奨学金は、親を病気や災害などで亡くしたか、親に障害がある子どもの就学を支える。調査は7月、全国の奨学生の保護者に聞き、3107人(回答率60・0%)が回答した。72・3%は世帯年収が300万円未満で、仕事に就いている人(69・6%)のうち、59・2%がパートや契約社員などの非正規雇用だった。 「昨年以上に物価高や光熱費値上がりの影響を受けているか」との問いには、「とても感じる」「感じる」が計99・6%に達した一方、収入が昨年の同じ時期と比べて「増えた」のは14・5%にとどまった。 収入が物価上昇分を「カバーできない」との回答が94・2%を占めた。最も節約しているものは「食料品」が52・8%と最多で、「光熱費・水道代」も13・9%に上った。
エアコンの温度挙げたら子どもが熱中症に
自由記述には切実さがにじむ。「エアコンの温度を上げたら子どもが熱中症になり、病院も行けない」(広島県の保護者)など、電気代や食費を切り詰めたために体調不良につながったケースも目立った。育英会は「社会的な賃上げの流れに低所得世帯が取り残され、さらに物価高が追い打ちを掛けている」と受け止める。 遺児家庭の負担感が高まる中、奨学金のニーズは高まっている。今回の調査にも回答した広島県の女性(54)は「奨学金がなければ、娘の進学の目標をかなえられなかった」と強調する。高校生対象の奨学金には本年度、全国から過去最多の申請があった一方、資金が足りずに半数以上は不採用に。広島県でも申請した83人のうち43人を採用できなかった。 奨学金は街頭募金や支援者の継続的な寄付で成り立っている。広島県内での募金活動は19、20、26、27日にある。街頭に立つ奨学生の1人、西川琉夏さん(18)は、看護師の夢をかなえるため広島文化学園大に通う。「仲間や後輩のため、声を上げたい」と力を込める。