「マイナ保険証」一本化、健康保険証の廃止でどうなる? メリットとは 問題多発…医療現場から不安の声
しかし、2021年から運用が始まったマイナ保険証の利用率は、13%程度にとどまっています。 一方で、医療現場からはトラブルも報告されています。大分県保険医協会が実施したアンケート調査では、171の医療機関でカードリーダーの接続不良や名前の読み取り不具合などの問題が確認されました。 こうした状況から協会は「利用が広がらない要因になっている」と指摘します。 県保険医協会 垣迫真一副会長: 「読み取りができなかった人や他人の情報に誤って紐づけられていたケースがありました。マイナンバーカードを使えない人もいるので、現在の健康保険証も継続して使えるようにしてもらいたいというのが保険医協会の要求です」 ■薬局で重要な情報確認できず 大分市にある「O・P・A薬局」。10月からマイナ保険証の利用が徐々に増え始めています。 O・P・A薬局 都甲大介さん: 「過去の受診歴や何の薬を使っていたのかなどデータとして出てきます。どういった目的で使われているのかをはっきりと患者さんに伝えることができるようになったので、より充実した服薬指導ができるようになりました」 利便性を評価する一方、マイナ保険証で確認できる処方履歴は、過去1か月から5年の間となっていて、薬剤師が直近の情報を知るには、従来通りお薬手帳が必要だと指摘します。 O・P・A薬局 都甲大介さん: 「何が問題かというと直近の1か月が見られないということです。僕たちが一番欲しいのは直近の情報なんです」 また、代理で薬を受け取る際、顔認証やパスワードの入力が必要となるため、パスワードの失念などにより手間がかかる場合もあるといいます。 O・P・A薬局 都甲大介さん: 「今の状態で紙を廃止するのは難しいと思います。患者さんの不安が解消されるような説明を医療従事者からできるようになれば、より一層浸透できると感じています」 正確な本人確認や過去の医療情報でより良い医療につながる期待の一方、医療従事者や利用者の不安を解消する説明やサポートが求められています。
大分放送