水分補給に経口補水液は間違い?管理栄養士が教える、経口補水液の正しい摂り方と〈熱中症対策〉
熱中症対策に水分補給は欠かせません。水分補給というとお水、スポーツドリンク、経口補水液…?と選択肢がいくつか思い浮かぶと思います。結論から言うと経口補水液は水分補給のためにのむものではありません。この記事では経口補水液の適切な使い方について管理栄養士が解説します。 〈写真〉水分補給に経口補水液は間違い?管理栄養士が教える、経口補水液の正しい摂り方と〈熱中症対策〉 ■経口補水液とは? 経口補水液とは、既に脱水症状を引き起こした人の水と電解質の補給に使われる食品です。経口補水液は主に水、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ブドウ糖などから構成されています。これらの成分が小腸で速やかに吸収されるように配合も決まっています。また経口補水液と表示して販売されているものには特別用途食品の中の「病者用食品」という消費者庁に認められた証拠であるマークがついています。 ■スポーツドリンクと何が違う? スポーツドリンクも経口補水液と同様に水、電解質、ブドウ糖を含みますが、スポーツドリンクは経口補水液ほど電解質濃度が高くありません。スポーツドリンクは糖分が高いものが多く、運動で失われたエネルギーの補給や、大量に汗をかいた時、汗と共に流れたナトリウムを同時に補給することができます。 ■経口補水液とスポーツドリンクはいつ使えばいい? ■■経口補水液 経口補水液は脱水症状を引き起こした人が対象の食品です。よって既に症状を引き起こした人に使うため、健康な人が日常的に摂取するものではないということを覚えておきましょう。脱水症状の中でも以下の軽度から中度のものに適しています。 ・感染性の胃腸炎による下痢と嘔吐を伴う脱水症状 ・脱水を伴う熱中症 ・過度の発汗による脱水症 ■■スポーツドリンク 大量に汗をかくと水分だけでなくナトリウムを中心に様々な電解質も失われます。汗を多くかいたとき水と共に電解質も同時に摂ることでスムーズに身体に水分が行き渡ります。糖質濃度が4~8%のものを選ぶとエネルギーの補給にも役立ちます。 ・連続して1時間以上汗をかいた人 ・運動して汗をたくさんかいた人 ■経口補水液を飲む時の注意点は? ナトリウムやカリウムの摂取量を制限されている方は、使用前に事前に担当医に相談しましょう。飲み方を誤ると症状を悪化させる可能性があります。一般の方も医師や管理栄養士等と相談のもと使用するのが安全です。 ■■スポーツドリンクを飲む時の注意点は? スポーツドリンクは多用すると糖分や塩分の過剰となる可能性があります。日常の水分補給は水やお茶で十分です。また1日に必要な水分の内半分は食事由来の水分と言われています。夏バテなどで食事量が減ると水分不足の原因にもなるため、1日3回の食事と合わせ気温、活動量、発汗量から自分に適した水分を選べるようになりましょう。 ■まとめ 経口補水液は既に症状が出ている人が飲むものです。健康な人が日常的に摂取するものではありません。日頃の水分摂取は自分の生活スタイルに合わせて適切なものを選ぶようにしましょう。 〈参考文献〉 food_labeling_cms206_20240430_07.pdf (caa.go.jp) food_labeling_cms206_20230927_06.pdf (caa.go.jp)熱中症対策には、どのような飲料が適していますか。:農林水産省 (maff.go.jp) 夏場の熱中症対策~スポーツドリンクを作ってみよう~ | 都道府県支部 | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp) ライター/田中ひろか(管理栄養士)
田中ひろか