NO! 路上飲酒 環境悪化、渋谷で禁止
「外国人が日本でやってみたいことの一つ」
そんな期待を背負って施行された条例だが、果たして効果はあるのか。条例施行日と、施行後初めての週末となった10月4日の金曜日に、パトロール隊と一緒にJR渋谷駅周辺を歩いた。 かなりの頻度で路上飲酒に出くわした。たいていは1人、ないしは2~3人で缶チューハイやリキュール類を飲んでいる。まだ時間が早かったせいか、大人数での酒宴には遭遇しなかった。条例制定の効果だろうか、渋谷区の担当者は「これまでの週末と比べるとかなり減ったように感じる」と漏らした。 パトロールに同行してみて、路上飲酒をしているのは外国人旅行者が多いという印象だった。渋谷区ではパトロールを始めた昨年から路上飲酒を注意した人の数を記録しているが、およそ3分の2は外国人だ。歩行者のほとんどが日本人なのに、路上飲酒をする人はなぜ外国人の方が多いのか。
アメリカのコネティカット州出身で日本在住17年になるユーチューバーのMJさんは「多くの外国人観光客にとって路上飲酒は、東京の街中の公道をカートで走ったり、メイドカフェに行ったりするのと同様、日本に行ったら是非やってみたいと思うことの一つ」と話す。というのも、欧米では公共の場での飲酒を厳しく制限している国や自治体が少なくなく、路上飲酒の体験は旅先での特別な思い出となるからだ。MJさん自身も、来日して日本では公共の場で酒が飲めることを知った時には「awesome(すごい)」と感動したという。 筆者の見た範囲では、国籍にかかわらず大半の路上飲酒者はパトロール隊員の指導を受け入れ、飲みかけのアルコール飲料も素直に差し出した。取材した外国人のほとんどは「条例については知らなかった。条例があるなら、もちろん従う」と答えた。日本人も同様だ。しかし、中には指導に抵抗したり、無視したりする外国人もいた。海外からの旅行者とみられる男性2人は、パトロール隊員に注意されてもアルコール飲料の放棄を拒み、「電車の中で飲むから」と言い訳して立ち去った。