西武・東武・JR集結「小江戸川越」どの路線で行く? 各社が通勤通学・観光両面の需要取り込み競う
「当社としても電車利用促進策による市内の渋滞解消等の必要性は認識しているため、具体的な解決策を検討していければと考えています。例えば、2024年7月に開催された『川越百万灯夏まつり』では、地域の課題である中心市街地の交通渋滞低減を目指し、鉄道での来訪を促すイベントを実施しました」 2023年度の乗降人員は東武の川越駅が11万4751人、川越市駅が 4万3185人、西武本川越駅が4万8374人となっている。JR川越駅は乗車人員ベースで3万5294人だった。
東京のターミナル駅まで早く行けることに加えて、東京メトロ有楽町線や副都心線への乗り入れもある東武東上線が他を引き離している状況だ。西武の本川越駅は所要時間では不利だが、蔵のまちに近いことから、観光客の利用も多いのだろう。 観光列車としては、西武が10000系ニューレッドアローを使った特急「小江戸」を西武新宿―本川越間、東武は50090型をクロスシート配置にした「川越特急」を池袋―小川町間で運行している。
■通勤時間帯には座席指定列車 小江戸が座席指定料金を必要とするのに対し、川越特急は乗車券だけで利用できる。一方で小江戸は通勤時間帯にも運行しており、西武池袋線などのS-TRAIN、東武東上線のTJライナーに近い位置づけの列車もある。 西武鉄道では現行のニューレッドアローに代わる車両を考えていると言われる。具体的には明らかになっていないが、池袋―西武秩父間の「ラビュー」001系より汎用性の高い車両が求められることになりそうだ。
それとともに、オーバーツーリズム気味の現状を考えると、東京から観光客を運び入れるだけでなく、現地でどう動かしていくかも大事になる。二次交通を含めたマネジメントにも取り組んでもらい、京都や鎌倉などの参考になるようなモビリティサービスが提供されることを望みたい。
森口 将之 :モビリティジャーナリスト