庭が残した恵みで冬支度〈花も人ものびやかな庭〉12月
長野県須坂市、ブドウやリンゴの畑に囲まれた美しいナチュラルガーデン。建築の設計やインテリアデザインを手がけていた田口勇さんと片岡邦子さんが東京から移住し、23年前につくり始めました。『趣味の園芸』連載「長野 ガーデンソイルの四季 花も人ものびやかな庭」では、園芸ファンに愛されるショップガーデンの、センスあふれる庭づくりの秘けつに迫りつつ、庭と一緒に年齢を重ねたショップのお二人に、美しい庭を続けていくためのコツを学びます。 12月の須坂にはいよいよ本格的な冬が到来。薪ストーブの暖かさに包まれながら、今年の庭が残してくれた恵みで冬支度を進めます。 【上の写真】直径1mの大リースに高さ2.5mのアーチを制作中。ウラジロモミの葉の表裏を混ぜて束ねることで立体感を演出。 ■12月号 連載より(一部抜粋)
庭の思い出が冬の日の愉しみになる
「12月の庭では、葉を落とした落葉樹の幹がくっきり浮かび上がり、ドイツトウヒやウラジロモミやイチイなどの針葉樹が存在感を示します。もりもりだった宿根草たちは姿を消し、シードヘッドを残すのみになって、庭の構造が見渡せるようになります」という片岡さん。 毎年クリスマスに向けて、ショップの入り口には針葉樹のアーチを飾りつけます。「針葉樹のヤニで手が真っ黒になるけれど、モミの青い爽やかな香りが漂います」 11月に集めた落ち葉も乾ききる前に、リースやガーランド(花などを用いた花輪や、ひもでつないだ装飾品)へと姿を変えて。春夏に輝いた花や木々の葉に、もう一度スポットライトが当たります。
落ち葉1枚ずつを愛しんで。 赤茶色のピンオークと黄色のトウカエデの葉のテーブルリース。飾りのキャンドルを中心に添えて。
『趣味の園芸』2023年12月号 連載「長野 ガーデンソイルの四季 花も人ものびやかな庭」より