S&P、米国の長期格付け「AA+」に据え置き-見通し安定的
(ブルームバーグ): S&Pグローバル・レーティングは27日、米国の長期ソブリン信用格付けを2番目に高い「AA+」で据え置くと発表した。格付け見通しは「安定的」とした。
堅調な成長を伴う多様性に富み回復力ある経済、金融政策の大きな柔軟性、世界最強の準備通貨発行国という比類ない地位の恩恵が、米国のソブリン格付けを支えるとS&Pは説明した。
「安定的」とした見通しは、「米経済の回復力維持への期待、金融政策の積極的かつ効果的な実行に加え、米政府当局が連邦債務上限への対応など当面の財政上のデッドラインを引き続き適時解決していくという当社の見解を反映している」という。
S&Pはその一方で、ソブリン信用格付けの妨げとなり続ける比較的脆弱(ぜいじゃく)な財政指標が、そうした長所を弱める方向に働くと指摘。一般政府の純債務が国内総生産(GDP)比100%に近づく重い債務負担や、財政ダイナミクス強化のために超党派の協力を得る難しさを信用力の弱さとして挙げた。
2011年8月に米国を最上級の「AAA」から「AA+」に1段階格下げした際、S&Pは同国の政治プロセスや財政赤字削減に十分な政府支出の圧縮と歳入増を実現できない議会を批判した。財政赤字のGDP比率は11年の7.9%から昨年は6.5%に低下した。
昨年8月にはフィッチ・レーティングスも政府の借り入れや債務上限引き上げを巡る政治的膠着(こうちゃく)が繰り返される状況に言及し、米国の長期外貨建て発行体デフォルト格付け (IDR)を「AAA」から「AA+」に1段階引き下げた。イエレン米財務長官は格下げが「恣意(しい)的」で前提が「最新でない」として、フィッチの決定に強い異議を唱えた。
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原題:US Credit Rating Affirmed at AA+ by S&P With Stable Outlook (2)(抜粋)
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Jim Silver