中国による財政面の刺激策、デフレリスク抑制には力不足-IMF
(ブルームバーグ): 中国政府が最近打ち出した一連の刺激策は、世界2位の規模を誇る中国経済を悩ませるデフレリスクに対処するのに必要となる水準には届いていないと、国際通貨基金(IMF)の当局者が指摘した。
アジア太平洋局長を務めるクリシュナ・スリニバーサン氏は最近公表された政策に関して、IMFが今年4.8%成長と見込んでいる中国経済を押し上げる可能性が原則としてあるものの、不動産市場の落ち込みに対処し、物価面の圧迫を和らげるには中国政府による追加支出が必要だとの見方を示した。
スリニバーサン氏は24日、ワシントンでブルームバーグ・ニュースに対し、「内需が非常に弱く、発表された措置で十分だとはわれわれは考えていない」と説明。「事前に販売された住宅を確実に完成するようにしなければならない。それから、生き残れる不動産開発企業と生き残れない開発業者の問題を解決する必要がある」と述べた。
中国は国内総生産(GDP)の約5%相当を住宅市場の安定化に振り向けるべきだとも同氏は指摘。ブルームバーグが昨年の数字に基づき計算したところによると、これは約6兆3000億元(約134兆円)規模のパッケージに相当する。スリニバーサン氏は時間軸を示さなかったが、IMFは今年、こうした支出を4年かけて実施する可能性に触れた。
投資家やエコノミストは、景気てこ入れ策の具体化を待ち望んでいる。藍仏安財政相は今月、売れ残り住宅の買い取りで特別債の活用を地方政府に認める考えを示したが、具体的な規模については言及しなかった。
中国の不動産危機で推計18兆ドル(約2730兆円)相当の家計資産が消え、GDPデフレーターは1999年以来の長期マイナス局面に入っている。
GDPデフレーターのプラス転換にどの程度の時間が必要かとの質問に対し、スリニバーサン氏は「時間が経過してみなければ分からない」と回答。「内需が非常に弱いという根本的な問題にどう対処するかが問題だ」と述べた。