映画『バグダッド・カフェ』の「聖地」は現在復旧中! ルート66ファンならぜひとも観るべき名作です【ルート66旅_54】
劇中そのもののカフェでハンバーガーを味わう
私が初めて訪れたのは2011年の3月、西から東へ向かう旅の途中だった。太陽が照りつけるモハヴェ砂漠をオープンカーでのんびりドライブし、ちょうど小腹が空いたころに映画で何度も見た建物が目に留まる。扉を開けた瞬間に耳へ飛び込んでくるBGMはコーリング・ユー、そして地元の常連客と思われる人たちから一斉に向けられる視線。もう完全に映画のなかへ入り込んだ気分になれる。 もっとも無愛想な女主人はおらずフレンドリーなスタッフに笑顔で席へ案内してもらい、メニューから表の壁にも書いてあったバッファロー・バーガーをオーダー。店内を見渡していると奥の席に座っていた初老の男性と目が合う。お約束の「どこから来た?」から会話が始まり、そこに他の客やスタッフも加わって盛り上がる。 映画のロケ地だけに外国人の観光客なんて見慣れているだろう、と思ったらひとり旅は少ないようで次々に質問を浴びせられた。映画のファンであることを伝え、食後は裏庭などを撮影させてもらうことに。
時とともに老朽化しながらも、カフェは間もなく再オープン
劇中で主人公のジャスミンが掃除していた給水塔は、残念ながら老朽化で倒壊してしまったらしい。再建のため寄付を募っているなんて話も耳にしたが、最後に訪れた2019年の時点では以前のままだった。また無造作に放置された何台ものエアストリームのなかには、劇中で絵描きのルディが住んでいたものもあるのだろうか。 そしてモーテルは屋根も壁もボロボロの廃屋となっており、残念ながら2021年には取り壊され更地になっているとのこと。初訪問のときから「FOR SALE」の看板が立ってはいたものの、ビジネスとして成立させるのはちょっと難しいのかもしれない。 公開から37年の歳月が経過しており当時と同じ風景とはいわないが、周囲のロケーションを含め今も映画の雰囲気は十分に味わえるはずだ。 今回の記事を書くにあたりウェブサイトを見たところ、豪雨で大きなダメージを受けてしまったらしい。食事の提供もコロナ禍で休止しているようで、現在はお土産の販売のみと記載されている。ただし被害の大きかった屋根は修理を終え電話も復旧、2024年6月までの再オープンを目指しているという。私にとってもルート66で五指に入る思い出の場所、1日でも早い再興と末永い賑わいを願うばかりだ。
佐藤 圭(SATO Kei)
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