堂安律が全員の思いを代弁「監督のために」 記者から「酷い質問が来たら?」…名将を物語る真摯な姿勢【現地発コラム】
今季限りで退任するフライブルクのシュトライヒ監督、選手や周りから愛された人柄
日本代表MF堂安律がプレーするフライブルクのクリスティアン・シュトライヒ監督は、多くのサッカーファンに愛される人物だ。フライブルクのファンだけではなく、他クラブのファンもがシュトライヒの言葉に耳を傾け、拍手を送る。 【動画】堂安律が豪快ダイビングヘッドで今季6ゴール目の瞬間 育成指導者時代を含めて29年間在籍したフライブルクを今季限りで辞めることを表明しており、第33節ハイデンハイム戦が最後のホームゲームになった。1-1の引き分けで終わった試合後には、お別れセレモニーが開かれ、これまでの功績を称え、そして新しい門出に拍手が送られた。 堂安は「彼の偉大さというのはこの2年でかなり感じてプレーしてましたし、それに値するような人柄を持った人だと思う」と別れを惜しんだ。 同僚のイタリア代表MFビンツェンツォ・グリフォは「監督だからということだけではなく、監督は僕ら選手を人間として興味を持って話をしてくれるんだ。プロサッカーはハードな仕事だけど、監督はどの選手とも丁寧に話をするし、プライベートの話もする。僕らの普段にも興味を持っていっぱい話を聞いて、話をしてくれるんだ。特別な信頼があると感じるんだ」としみじみと語っていた。 グリフォは類まれなスキルを持つ選手ながら、他クラブではいまいちフィットせずにいた。だがシュトライヒの下だと、まばゆいばかりに輝きを放つ。クラブの主力へと成長し、イタリア代表入りも果たした。成長の礎を築いてくれた恩人との別れに思うところは多いだろう。 選手にだけではなく、メディアに対してもとても真摯で丁寧に受け答えをしてくれる。この日、1人のドイツ人ジャーナリストから「ミックスゾーン(取材エリア)で選手から監督の人間性についての話があり、多くの誉め言葉を聞きました。公の場でもあなたのように自分らしさを保つにはどうしたらいいのでしょうか? サッカー界では時に酷い質問が来ることもあります」という質問があった。 シュトライヒは「酷い質問……うーん」と考えた後、こう答えた。 「ジャーナリストのみなさんが質問をしてきて、私は答える。それだけだのことだよ。みなさんは私の仕事について聞いてきているのだから、私も仕事としてそれにプロフェッショナルに答える。不思議な質問をされて困ることもあるけどね、リスペクトを持って質問してくれる人に対して、リスペクトを持って答えるのは当たり前のことだ」 そんなシュトライヒだから、サッカーのことだけでなく社会情勢についてもよく尋ねられる。自分の言葉が独り歩きしないように気をつけながら、正直に思うことを口にする。シュトライヒと話をしていると、物事をより深く考えられるようになる気がする。いろんな側面から指摘をしてくれるからだ。