韓国捜査当局が尹大統領に出頭要請 警察と検察が競う異例の展開
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣布を巡る捜査で、警察などで作る合同捜査本部と検察は16日、それぞれ尹氏に対し、出頭要請書を送付した。尹氏が出頭に応じた場合は任意で事情を聴いたうえで、逮捕状を請求するかどうかを判断する方針。 【図解】尹氏に対する検察捜査の想定される流れ 尹氏は内乱容疑などで捜査対象となっている。現職大統領には不訴追特権があるが、内乱罪は例外。もし韓国の現職大統領が身柄を拘束されれば史上初となる。 この事件では、警察や高官犯罪捜査庁などが合同捜査本部を設置。別に検察も特別捜査本部を設立しており、両者が競うように捜査する異例の展開となっている。 警察などの合同捜査本部は16日、18日午前10時の出頭を尹氏に求めた。18日は尹氏の64歳の誕生日。 一方、検察も16日、尹氏に対し2度目の出頭要請をした。出頭の期日は明らかにしていない。11日にも、15日午前10時の出頭を要請していたが、尹氏は拒否した。聯合ニュースによると、尹氏側は「弁護団の選任が終わっていない」ことを理由に挙げた。 一方、尹氏に対する弾劾訴追の是非を審理する憲法裁判所は16日、最初の弁論準備期日を27日に決めた。憲法裁は「最優先で審理する」としている。 尹氏は14日に国会で弾劾訴追案が可決され、職務停止に追い込まれた。身辺警護などの特権は保持しており、聯合ニュースによると、ソウル市内の大統領官邸で生活している。 また保守系の与党「国民の力」の韓東勲(ハンドンフン)代表は16日、「党代表としての正常な業務が行えなくなった」と述べ、辞任を表明した。 韓氏は尹氏に対する弾劾案への賛成を明言。可決につながったとして党内から激しい批判を浴びていた。韓氏は、尹氏が右派系ユーチューバーのコンテンツなどから影響を受けているとの指摘があることを念頭に「不正選挙を唱える陰謀論者や極端なユーチューバーに同調すれば保守の未来はない」と訴えた。【ソウル福岡静哉、日下部元美】