「旅行は日本、買い物は中国から」…止まらない「物価高騰」への韓国国民の不満は4月の総選挙にどう影響するか
世界で16番目に高いソウルの生計費
「旅行は日本、買い物は中国から」 これは最近の韓国の賢い消費者たちのトレンドを象徴するキャッチフレーズだ。止まらない物価高によって、旅行で日本を訪れる韓国人や中国のEコマース企業を通じて物を買う韓国人が増える一方、自国内では財布の紐を締めてしまう人たちが続出しているのだ。 【写真】「在日3世」の私が脱北エリートから聞いた「北朝鮮」「韓国」「日本」の真実 グルーバルコンサルティング会社「マーサー(Mercer)」の「2023年の都市生活費調査(Cost of Living City Ranking 2023)」によると、韓国・ソウルは世界227の都市の中で生計費が16番目に高い。 ソウルの生計費は東京(19位)、ロンドン(17位)、米ワシントン(23位)より高く、ニューヨーク(5位)、香港(1位)、シンガポール(2位)よりは低い。マーサーは、高い生計費のため、ソウルでの暮らしの質は世界で81番目だと分析した。これは、50位の東京よりも30段階ほど低い水準だ。 韓国では物価高騰により数多くの流行語が生まれた。 韓国人が最も好きな果物のリンゴは、1個当たり5000ウォン(約580円)まで価格が急騰したせいで、アップルレーション(apple + inflation)という流行語が誕生し、農産物価格の急騰によってアグフレーション(agriculture + inflation)という新造語も登場した。 国際価格比較サイト「ナンベオ(Numbeo)」によると、3月10日基準で、韓国はリンゴ、ジャガイモ、バナナなどの価格では世界95ヵ国のうち1位、トマト、タマネギなどは世界2位の水準だ。 韓国人のソウルフードともいえるテンジャンチゲ(味噌鍋)に欠かせない材料のズッキーニは、上昇率があまりにも急で、「ズッキーニコイン(ズッキーニ + ビットコイン)」という流行語が派生したほどだ。 食料品価格の高騰は当然ながら外食費にも影響を与える。韓国のKB国民カード社がソウルの5つのオフィス密集地域の昼休みに使われたクレジットカードの利用金額を分析した結果、ソウルの会社員の平均ランチ代は1万ウォンを超える。これは、日本の平均の2倍以上の高さだという。 他にもサービス費用、電気料金、賃貸料などが全て急騰しているため、庶民からは「物価のせいで暮らしにくい」という不満が口々に出てくるわけだ。