最近、街なかで「社名入りの歩道橋」をよく見かけますが、なぜ増えているのでしょうか?
企業PR効果70%超
歩道橋のネーミングライツは、多くの地方自治体で地域貢献やPR効果を生むものとして注目されている。愛知県一宮市の公式サイトによると、 「歩道橋は交通量が多い幹線道路に設けられているため、多くのドライバーに視認されます。日常的に近隣にお住まいの方の視界に入るため、地域におけるネーミングライツパートナー企業の存在感を高める効果が期待できます」 と記されている。また、「歩道橋は地域の高齢者や児童などの交通弱者を守るための大切な施設であることから地域に貢献する企業としてのイメージをアピールする効果が期待できます」と説明されている。 全国初の試みとして大阪府が導入したネーミングライツでは、2010(平成22)年3月16日から24日にかけて大阪府内の10代から80代の1407人を対象にPR効果についてアンケート調査を実施。その結果、 ・企業名などのPR効果が大いにあると思う:15% ・効果があると思う:56% で、合計70%以上の人が「効果がある」と回答していた。 また、ほとんどの自治体では、ネーミングライツパートナー企業が自社のウェブサイトや出版物にその旨を表示することが許可されており、これによって地元での企業の存在感を高める効果が期待されている。
ネーミングライツに期待すること
これまで多くの児童生徒が利用してきた歩道橋にも、さまざまな変化が起きている。老朽化により撤去されるものもあれば、 ・道路の整備 ・少子高齢化 ・バリアフリー化 などの影響で利用者が減り、撤去されることもある。また、現存する歩道橋のなかには、建設から50年以上が経過しており、修繕が必要なものも少なくない。 こうした状況のなかで、歩道橋をなくして横断歩道を作ればよいと考える人もいるかもしれない。しかし、歩道橋は 「車道から立体的に歩行者を分離する役割」 を果たし、特に登下校する子どもたちを交通事故から守る大切な存在なのだ。 実際、歩道橋は学校の近くに設置されることが多く、利用者の多くは児童であり、場所によっては“なくてはならない存在”となっている。筆者(小島聖夏、フリーライター)も、通っていた小学校がクルマ通りの多い道路を横断した先にあり、毎日歩道橋を使って登校していた。 今あるすべての歩道橋を自治体の力だけで維持するのは現実的には難しい。しかし、今後は多くの地域でネーミングライツを取り入れることによって、財源の確保や地域貢献が期待できるかもしれない。
小島聖夏(フリーライター)