P&GからUSJへ、トップマーケターが明かす“世界3位の舞台裏”
「秋=まったり」のイメージを塗り替える?
来園者数や客単価、満足度などさまざまな指標で「成功か否か」をはかっているが、いずれも上々だという。 「今年は『マジ今、生きてる!』をテーマに掲げました。ストレスを発散して、『生きててよかった』という日常生活ではなかなか感じることのない気持ちになってもらえるような、刺激的なコンテンツを用意したつもりです」(鶴さん) 今後は、秋の行楽地としてUSJが第一想起される存在となること、そして秋のレジャー自体のイメージを刷新したいという個人的な野望もあるそうだ。 「秋のレジャーといえば紅葉やお寺、温泉などでゆっくりまったりというのが定番ですよね。それもいいのですが、『秋だからこそ刺激的な体験をしたい』という真逆のニーズが増えていったらいいなと。その受け皿に我々がなって、秋のレジャーでUSJが紅葉狩りより先に想起されるようになったときにはじめて、新しいマーケットを開拓できたと言えると思っています」(鶴さん)
オープンで熾烈なIP競争の時代へ、勝ち筋は
ハロウィーンでは、TVアニメ 「チェンソーマン」とコラボしたアトラクションも期間限定で設けた。USJが同作とコラボするのは初めてだ。 USJは近年、ポケモン、名探偵コナン、ONE PIECE、進撃の巨人、鬼滅の刃、チェンソーマン、SPY×FAMILY、ドラえもん、僕のヒーローアカデミアなど、日本のゲームや漫画・アニメとコラボしたアトラクションやショーなどを数多く実施している。 テーマパーク運営に詳しい日本総研の船田学氏(リサーチ・コンサルティング部門プリンシパル)は言う。 「今は1つの作品をめぐって、複数のテーマパークが同時期にコラボ企画を実施することも珍しくない、オープンで熾烈なIP競争の時代です。人気IPとのコラボを勝ち取ったからといって安心できず、『アトラクションの体験価値や没入感における差別化』が非常に重要になっています。 たとえばアメリカにはテーマパーク専門のコンサルティング会社が何社もあり、客を1歳ごとに細かく分析して、どんなIPを好むのか調べて、テーマパークに情報提供しています」(船田氏)