最新の日産GT-R 2025年モデルは、年月を重ねてもたまらなく愛おしい1台だった 2000万円超の国産スポーツの魅力とは
ホントによくできたスポーツGT
内外装の印象は、2007年のオリジナルから大きく変わっていない(途中でフェイスリフトがあったけれど)。くさび型のボディに、前後20インチ外径のホイールと組み合わせた扁平タイヤの組合せが、他に類のない独特のすごみを感じさせるのは、今にいたるまで変わっていない。内装も同様だ。たとえば、パーキングブレーキはいまだに手動である。 ステアリングフィールは、クイックで反応が速くて、GTというよりピュアスポーツカー。でもアクセルペダルは敏感なので、逆に足の力をゆるめれば、すぐにパワーオフするから、操縦している自分との一体感があって、クルマに振り回されるような不安はない。 新しさでいえば、先述のとおり、アイドリング時は驚くほど静かなのに、感心させられる。とはいえ、ドライブすると、軽くアクセルペダルを踏んだだけで、強烈に気持ちのよい爆発音とともに、エンジンは高回転域までよどみなく回る。そして、ロケットのような加速感。 感じられる興奮は、まったく古びていない。開発資金がないから、いまだにNISSAN GT-Rを作り続けている……なんてことはないだろう。コツコツとファインチューニングが重ねられていった結果がいまここにある。ホントによくできたスポーツGTだ。 Premium edition T-specの価格も、ある意味、魅力的だ。2035万円。911でいえばカレラ(1694万円)とカレラGTS(2254万円)のあいだ。メルセデスAMGの「GTクーペ」(2750万円)や、BMWの「M8コンペティションクーペ」(2526万円)よりお買い得だ。これも人気の理由だろう。 いまだに買う価値のあるスポーツカー……それがNISSAN GT-Rだと改めて知った。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)