ウミガメ産卵、減少傾向続く イノシシ食害恒常化も懸念 奄美大島
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は18日までに、鹿児島県奄美大島のウミガメ上陸・産卵に関する2024年の調査結果(速報)を発表した。産卵回数は計289回で過去最少だった昨年(260回)に次いで低く、特にアカウミガメは減少傾向が続いている。リュウキュウイノシシなどによる卵の食害は昨年比27件増の67件で、同会は採食が恒常化した浜での産卵個体群の減少に懸念を示した。 24年の産卵回数の内訳はアオウミガメ206回(前年157回)、アカウミガメ47回(同46回)、種不明36回(同57回)。アカウミガメは13年の663回をピークに減少して低い水準で推移しており、今年は過去最少だった昨年とほぼ同数だった。一方アオウミガメは、過去13年間は増減を繰り返しながらほぼ同水準で安定的に推移しているという。
アカウミガメの減少について同研究会は、東シナ海で活発化する漁業活動による混獲や餌資源の減少などを懸念。数年おきに産卵するウミガメ類の生息数の増減には中長期的な分析が必要として、アオウミガメと共に今後も継続した調査を行うとした。 24年のウミガメの上陸は2~9月に計521回(アオウミガメ370回、アカウミガメ81回、種不明70回)あった。2月10日に瀬戸内町加計呂麻島でアオウミガメの産卵が確認されたが、季節外れの特異な上陸産卵で子ガメのふ化脱出は見られなかった。 リュウキュウイノシシによる卵の食害は2町村の6浜で計67件発生し、瀬戸内町の請島西岸と与路島西岸で増加。大和村ヒエン浜でも1件あったほか、瀬戸内町の無人島須子茂離れの西岸で初めて被食産卵巣が確認された。