柄本佑、『光る君へ』での剃髪「わがままを通してもらった」 撮影は10分弱「不思議な体験でした」
『光る君へ』後は「自主映画で長編を」
撮影時にはあった長い髪。11月24日放送の『光る君へ』第45話では、道長の出家を象徴する剃髪シーンがオンエアされたが、実際に髪を剃り落としていた。 「道長さんは実際にご出家されているので、『出家の場面が出てくるなら剃髪させていただきたい』ということは、早めに言っておきました。それでクランクインしてすぐ、去年8月ぐらいに。前後の撮り順その周りのスケジュールもあったのですが、わがままを通してもらいました」 剃髪のシーンは長く、道長の抱えていた苦悩、葛藤などが伝わってくる印象的なものになった。柄本自身は「不思議な体験でしたね」と振り返った。 「剃り始めはなんてこともなかったんですよ。ショリショリ、という剃る音が聞こるだけで。10分弱ぐらい回していたかな。どういう状況かも見えてなかったんですけど、手の上に髪が落ちてきたんです。そこからすごく不思議な感じでした。『長くやってきて、こういうシーンを迎えられて良かったな』ということもありますし、言葉にできない何かがありました」 そして、1年に渡る物語はクライマックスを迎えるが、「オンエアが始まったら、本当にあっという間でした」と目を細めた。 「準備期間とかがとにかく長かったですね。人の目に触れるまでは非常に狭い世界で撮っているから『これがどういう受け止められ方をするのか』というある種の不安を抱えている。オンエアが始まると、見た人の意見が耳に入ってきて、『じゃあ、こうしようかな、ああしようかな』と考えたりして」 と話した後、笑みを浮かべて言った。 「だから、欲を言えば、半月ずつ撮影を前倒しにしていったら、『将来的には撮り切りで大河ドラマがオンエアできるな』って。僕は全く気にしていないけど、それだったら視聴率に一喜一憂することもありませんし」 このアイデアを番組関係者に話したところ、「無理だ」と返されたという。だが、「撮り切り」でのオンエアなら出演者の心持ちも変わりそうだ。そんな思いも巡らせた同作が、今月15日にエンディングを迎える。次に柄本が向かう先はどこだろうか。 「大河を撮っている期間でも自分が監督した自主映画を公開できたんですが、『この大河をとにかく1年半務めあげてから』と思っていました。近年中には、その自主映画に関わってくれたスタッフさんやキャストの方々のためにも、『何か長編を撮らなきゃな』と思っています」 柔らかな空気をまとう柄本が話すと、場がふわりと和む。しかし、それぞれの作品で見せる顔はどれをとっても同じものはなく、時には鋭く、時に緩い。そんな柄本がフォトブックではどのような顔を見せてくれているのか、興味深い。 □柄本佑(えもと・たすく) 1986年12月16日、東京都出身。2003年公開の映画『美しい夏キリシマ』で主演デビュー。同作で第77回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第13回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。数多くの映画、ドラマに出演するほか、自主制作映画も手掛ける。映画『きみの鳥はうたえる』などで第92回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞など受賞。近年の主な出演作は、日本テレビ系ドラマ「初恋の悪魔」『知らなくていいコト』、フジテレビ系連続ドラマ『ドクターホワイト』、NHK土曜ドラマ「空白を満たしなさい」、映画『ハケンアニメ!』『シン・仮面ライダー』『春画先生』『花腐し』など。待機作には、来年2月7日公開のアニメ作品『野生の島のロズ』(声の出演)がある。妻は俳優・安藤サクラ、俳優一家で生まれ育ち、父は柄本明、母は故角替和枝さん、弟は柄本時生。血液型B。
ふくだりょうこ