中日・松中コーチ「年々指導したい思いはあった」三冠王の心技体を竜打線に注入…「頑張ってこい」心に染みた王会長からの激励
中日のコーチングスタッフに新たに入閣する松中信彦打撃担当コーチ(50)が30日、名古屋市内の球団事務所で球団と正式に契約を交わした。現役時に所属したソフトバンクの王貞治会長(84)からは激励の言葉を送られた。偉大な先達から三冠王の系譜を継いだ松中コーチは「長打が打てる打者を育てたい」とその打撃技術を若竜らに伝えていく。 世界の王からの激励を力に、平成唯一の三冠王が名古屋の街にやってきた。ブルーのネクタイを締め、球団事務所を訪れた松中コーチ。「現役生活で学んだことや、打撃技術に関してもいくつか引き出しはあると思う。存分に選手に伝えていきたい」と所信表明した。 独立リーグや臨時コーチとして指導経験はあるが、NPBでの入閣は引退後初めて。松中コーチが1年目だった1997年オフ、ウインターリーグで井上監督と一緒になったことからつながった縁だ。「正直びっくりした」というオファー。妻に相談すると「こんなチャンスはない」と背中を押された。「引退してから年々指導したい思いはあった。やってやるぞ、という気持ちになりました」と話した。 名古屋行きを決めた後、報告したのがソフトバンクの王会長だ。解説の仕事で福岡を訪れた際に連絡を取り、竜のユニホームを着ることを直接伝えた。王会長からの言葉は「頑張ってこい」。97年のホークス入団以降、王監督の下で12年間指導を仰いだ。2004年には三冠王を獲得。「僕が1軍で活躍できたのは王会長のおかげ」と松中コーチは語る。恩師からの激励が心に染みた。 松中コーチに課されたミッションは深刻な得点力不足の打破。既に井上監督を通じて、秋季キャンプにマスコットバットを持ってくるよう選手らに通達した。「振る力はウエートトレーニングだけではなく、スイングをしないとつかない。今は操作がしやすい軽いバットを使う選手が増えたけど、ボールを押し込めない。それが3割打者が減ったことにつながっている」。自らの打撃理論を、チームに浸透させていく。
中日スポーツ