「もらい忘れ」は損!60代サラリーマン「定年後再雇用」で給与が75%未満に減らされたら受給できる「高年齢雇用継続基本給付金」
60歳で定年を迎えたあと、「再雇用」で働く人が多くなっています。その場合、給与が定年前より減額されるケースがありますが、その額によっては、「高年齢雇用継続基本給付金」を受給できることがあります。ただし、受給するには申請が必要です。本記事で解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
定年後の給与はどれくらい下がるか
国税庁の令和4年(2022年)民間給与実態統計調査の結果によると、「55歳~59歳」の平均給与額が546万円なのに対し、「60歳~64歳」は19.2%低い441万円にとどまっています([図表1]参照)。 このことから、定年後に再雇用される場合、多くの人は給与が減額されていることがみてとれます。 もし、業務内容に比して減額の幅が大きすぎる場合には、違法とされることがあります。地裁判決レベルでは、定年前の60%を下回ったケースを違法としたものがあります(名古屋地判令和2年(2020年)10月28日)。 しかし、仮に60%を下回らず65%だったとしても、収入が定年前の3分の2を下回ることになるので、深刻な収入減少といわざるを得ません。
減額分を一部カバーしてくれる「高年齢雇用継続基本給付金」
そこで、知っておきたいのが、給与の減額分を一部カバーしてくれる「高年齢雇用継続基本給付金」の制度です。これは、60歳以上65歳未満で定年後に同じ職場で再雇用され、給料が減額されて定年前の「75%未満」になっている場合に、減額分の一部を受給できる制度です。 高年齢者雇用継続給付金の受給要件は以下の通りです。 ・60歳以上・65歳未満の雇用保険の「一般被保険者」である ・60歳以降に継続雇用となった ・60歳時点と比べ、60歳以降の給料が75%未満になった ・雇用保険に5年以上加入している 高年齢雇用継続基本給付金を受給するには、申請手続きが必要です。何もしないと受け取ることができません。 原則として2ヵ月に1回、事業主を介して、事業所を管轄するハローワークに申請しなければなりません。ただし、初回のみ、受給資格確認の手続きが必要ですが、2回目以降はこの手続きが不要となります。