169センチの小さな左腕はドラフト指名されるか
プロ野球のドラフト会議が、3日後に迫っているが、指名されるかどうかの注目を集めている一人が、夏の甲子園で“小さなドクターK”として話題になった身長169センチの秋田商、成田翔だ。 最速144キロのストレートと、同じ腕の振りから繰り出す落差とキレの鋭いスライダーを操る小気味いいピッチングで、チーム80年ぶりのベスト8進出を牽引。初戦の龍谷(佐賀)戦では16奪三振を奪い、レンジャーズのダルビッシュ有が、高校時代に記録した1試合15奪三振の記録を超え、U-18のワールドカップの日本代表にも選ばれた。当初は、社会人に進むと見られていたが、急転、「自分がどこまでやれるか試したい」と、進路をプロへと方向転換。プロ志望届を提出してドラフトを待つことになった。 170センチに満たない小柄な選手が、強打者が揃い、しかも140試合を超えるシーズンを戦わねばならないプロの世界で通用するのか。表にした身長のランキングを見てみるとわかるが、小柄な選手は、圧倒的に1、2番タイプの野手が多い。だが、結果を出している投手も少なくない。その代表的な投手の一人が、秋田商の先輩でもあるヤクルトの石川雅規(35)。身長は167センチだ。 石川は、青学を経てプロへ入ったが、1年目から先発抜擢され2桁を勝って新人王に輝いた。35歳にして、今なお、ローテーションを守っている。来るソフトバンクとの日本シリーズでも、中4日登板も可能のため開幕投手が予想されている。成田も、その大先輩の抜群の制球力でバッターを手玉に取るスタイルを目指しているという。 成田は、空振りを取れるキレのあるストレートに加え、日本代表チームで一緒になった東海大相模の左腕、小笠原慎之介からチェンジアップを伝授され、さっそく国体で試すなどして、さらに投球の幅を広げた。そういう野球センスの良さも成田の魅力だろう。 元ヤクルトの名スカウトの片岡宏雄さんも、成田の指名は面白いと見ている。