世帯年収「620万円」ですが、子どもの進学費用を出せません。奨学金の返済は「40歳」まで続くとも聞きますし、このまま高卒で就職してもらうべきでしょうか…?
子どもの大学進路にかかる費用の準備がうまくいかず、進学を諦めさせ就職してもらうか悩んでいる人もいるかもしれません。奨学金を利用して進学させる選択肢もありますが、卒業後に長い年月をかけて返還していかなければならないことに不安を感じている人は多いでしょう。 本記事では、奨学金を利用した際の返還方法や返還期間についてみていきます。また、高卒と大卒では初任給や生涯賃金にどれくらい差が生じるかも解説します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
奨学金を利用した場合は何歳まで返還が続く?
まずは、奨学金の返還方法と返還期間からみていきましょう。 ■奨学金の返還方法 利用者が多い日本学生支援機構の場合、奨学金の返還は、貸与が終了した月の翌月から数えて7ヶ月目からの開始です。例えば、3月に大学を卒業した人であれば10月から奨学金の返還が始まります。 返還方法は、毎月決まった金額が口座から引き落とされる「月賦返還」と、毎月決まった金額が引き落とされることに加えて、1月と7月に月賦と半年賦が口座から引き落とされる「月賦・半年賦併用返還(図表1)」の2つに分かれます。 図表1
独立行政法人日本学生支援機構 定額返還方式(月々の返還額が一定の返還方式) 図表1のとおり、「月賦・半年賦併用返還」を選択した場合は1月と7月の返還額が多くなることから、ボーナスが支給されない企業で働く場合は返還が難しくなる可能性が高いでしょう。 ■奨学金の返還期間 返還期間は奨学金の借入総額によって異なり、総額に応じて自動的に返還額と返還期間が決定する仕組みです。そのため、銀行融資のように希望の返還期間などを指定することはできません。なお、返還期間は最長20年間までとなっています。 もし、奨学金の返還が困難になった場合、「減額返還」や「返還期限猶予」といった措置を受けられます。そのため、滞納しそうになった場合はすみやかに日本学生支援機構にて手続きをおこないましょう。
高卒で就職すべき? 大学卒・高校卒の初任給、生涯賃金を比較
続いては、高卒で就職した場合と大卒で就職した場合に、初任給や生涯賃金にどれくらい差が生じるかをみていきます。 ■高卒・大卒の初任給 厚生労働省が公表した2022年度の資料によると、高卒で就職した人の初任給は、18万1200円です。一方の大卒では22万8500円となり、高卒と大卒とでは4万円以上の開きが生じています(図表2)。 図表2