そりゃ優秀な人が来るわ…「いい人が採用できる職場」が一番最初にやっている基本
「あなたの会社はZ世代に嫌がられるような採用活動をしていませんか?」――そう語るのは、ワンキャリア取締役の北野唯我さん。「常に人手不足」「認知度が低い」「内定を辞退されてしまう」「外資系との給与差が開いている」といった多くの採用担当者、経営者の悩みを解決するため、北野さんが執筆したのが、著書『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む 採用の問題解決』です。これまで属人的で全体像が見えなかった採用活動を構造化し、3000社以上の企業の採用支援実績、180万人の求職者のデータに基づいた「新しい採用手法」を紹介した一冊です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して紹介します。 ● どこに機能不全があり、どこが満たせているか 企業の課題は「誰の観点から見るか?」で内容が大きく変わる。「採用に問題がある」と言っても、その内容は千差万別だ。そもそも、「どの職種の採用に課題があるか」が整理されていないことも多い。 そこでまずおすすめしたいのが、「採用機能ポートフォリオ」の作成である。採用機能ポートフォリオとは、組織上のどの採用に課題があるかを可視化するためのフレームワークだ。 あなたの会社、組織では、どこに課題(=機能不全)があって、どこが十分に満たせているだろうか。 次の図は、 ・誰から見るか?(縦軸):経営レイヤーか、現場レイヤーか? ・投資の期間(横軸):短期的か、長期的か? の2つの軸で成り立っている。 この2軸で見たとき、「今困っているのはどの分類の採用なのか。そして、それは短期的に成果をあげるべきものなのか、長期的に取り組むべき内容なのか」を整理するのが、採用担当者の最初の仕事だ。 この最初のステップ次第で、その後やるべきことが全く変わってくるため、整理を怠ると間違った方向に進んでしまいかねない。 具体的に考えるべき要素は、次の6つだ。 ①中途のメンバー採用 いわゆる通常の現場やマネジャーを狙ったメンバー採用。 ②中途のエグゼクティブ採用 経営陣やマネジメント層、CXOレイヤーを狙った中途採用。 ③新卒の通常採用 新卒学生を対象にした採用。主に、ビジネス職(営業職・企画職など)を採用することが多い。 ④特殊採用 特定ターゲットに絞った採用。たとえば、中途であれば法務部門の採用、新卒であればエンジニアや経営幹部候補の採用など。 ⑤メディア資産 WEBサイトや外部媒体を中心としたメディア上のコンテンツ。 ⑥体験資産 社員としての就労体験、選考上での面接体験、インターンシップ体験からくる評判やクチコミ情報。 ● 課題を正確に把握すべき2つの理由 何事も課題を正確に把握した方が、問題解決につながるし、その後の勝ち続ける仕組みをつくりやすい。採用活動を全体像で把握すべき理由は2つある。 ひとつ目は、「優先順位と担当者」を決めるためである。採用課題とひと言で言っても、実は、最適な担当者と優先順位は異なる。たとえば、中途のエグゼクティブ採用は、経営レイヤーの人物がコミットする必要があるが、中途のメンバークラスの採用は、現場でも主導することができる。それぞれ、主導すべき担当者が違うのだ。 2つ目は、「利用するサービス」を決めるためである。外部のサービスを利用して採用の課題を解決する場合、当然、必要なベンダーが変わってくる。また、担当者に求められる知見や経験も異なる。新卒採用を例にすると、通常採用は、新卒採用の求人メディアや、新卒採用イベントへの出展などがあるが、一方で、エンジニア職などの特殊採用では、領域特化型の採用サービスの方が最適な可能性がある。
北野 唯我