《中国全土で”目指せ1万店舗”》「鳥貴族」が本気で世界進出へ…その「驚きの舞台裏」
国内600店舗を超えた焼き鳥チェーンのトップ「鳥貴族」が本気で海外進出に走り出した。2024年5月に社名変更をすると同時に、ロサンゼルスはじめ、台湾、韓国、香港、上海に進出を決め、来年は東南アジア各国に出店を始める。 【写真】戒厳令そっちのけ!?…現地でにぎわう韓国の「鳥貴族」 「2030年に海外500店舗」を掲げ、寿司、和食、ラーメンなどと比べると海外ではまだ未知数の焼き鳥を広めていくというのだ。はたして勝算はあるのか。 中編記事『《焼き鳥で“世界制覇”》「鳥貴族」が本気で海外進出へ…「世界の一風堂」をつくった男が描く大胆戦略』よりつづく。
米国、台湾で進む出店攻勢
さて、大倉社長と清宮氏は今後、海外展開をどう進めていくのだろうか。 米国進出を先導してきた大倉社長によると、「鳥貴族」ブランドで出店するのは3号店目。日本企業が多く立地するカリフォルニア州トーランスに出す予定で現在工事中だ。その後できるだけスピードを上げて「鳥貴族」ブランドを増やしていきたいわけだが、そのためにフードコート出店での展開を狙っている。酒を出す居酒屋スタイルは米国ではリカーライセンス取得が難しい。「その点、食事中心のフードコート出店は展開しやすいんです」と大倉社長は言う。 LAに次いで進出した台湾はすでに2店舗がオープンした。合弁相手は、養鶏から外食事業まで手掛ける台湾鶏肉業界を代表する企業であり、日系・米国系外食ブランドのフランチャイズ展開の実績を持っているので、展開は速いだろう。清宮氏は「台北、台中で80店舗ぐらいは出せるだろう」と読む。
「5年間で300店舗」韓国進出の裏側
前述したように、韓国では筒井氏がすでに「5年間で300店舗を目指す」と打ち上げている。 筒井氏は実は2015年にトリドールHDが「丸亀製麺」の韓国展開に苦労していたときに立て直しのために入った。トリドールのアフリカ初進出事業であったケニア・ナイロビのテリヤキチキン業態を立ち上げた後、韓国に。 2年間で黒字転換を果たしたため独立し、出身地の東大阪で「鯖ラーメン さばね」を起業、フランチャイズ展開を始めたり、淡路島に「さばね」をオープンして在日韓国人の妻と働いていた。そのとき、韓国での経歴を買われて鳥貴族韓国進出を業務委託の形で引き受けることになったのだ(トリドールHDのケニア、韓国はその後撤退)。 「縁を感じました。大倉さんも大阪ですし、大倉さんの次男が中学生のときに体育の授業を教えていたのが妻だったり。本当はブラジルで起業したくて準備をしていたんですが、いつのまにか韓国社長にさせられていました」と笑う。 大倉社長は、筒井氏を採用するとき、トリドールHDの粟田貴也社長に断りのLINEを入れている。粟田氏にそのこと聞くと「ノーコメントです」。鳥貴族の海外展開についても水を向けたが「ノーコメントでお願いします」とかわされた。その後、トリドールHDは韓国再進出を発表している。