保育園「落選狙い」を決断した女性 「ひきょう」と批判の声も保護者側には切実な事情、専門家はルール自体の問題を指摘 #令和の親
待機児童より多い「隠れ待機児童」
保育施設整備や既存施設の定員増などで待機児童が年々減少傾向にある一方、特定の園を希望しているなどで国の集計から除外される「隠れ待機児童」の数は依然高水準にある。千葉県内の待機児童は2023年4月1日時点で140人の一方、「隠れ待機児童」は3286人にも上り、前年と比べて471人増加。この中には延長目的の「落選狙い」も含まれている。 「落選狙い」は自治体にも負担をかける。入園が決定して辞退した場合、次の入園者を探す作業も発生する。本来入園したかった人が別の保育施設を選択せざるを得なくなるケースもある。 育休給付延長の審査厳格化は、こうした「落選狙い」に歯止めを掛けるのが狙い。ハローワークは今後、保護者の育休給付の延長を認定する際、保育園の落選を示す自治体の「入所保留通知書」に加えて、その保育園を選んだ理由や登園時間といった詳しい情報を記入した申告書などを提出させ、厳しく審査する方針だ。
「ただただ迷惑」「ルールが問題」
ただ、育休延長を切に望む声は少なくない。市川市の女性も「3歳までは育休を続けるか選択できるようになってほしい。欲を言えば保育料は何歳でも無償にしてもらいたい」と要望。「保育料は減らず、復帰したら子の体調不良で急な休みも出る。制度が現状に合っておらず、子育ての負担が大きいと日々感じている」とため息をつく。 人材サービスの調査機関「しゅふJOB総研」が24年1月、女性約600人に調査した結果によると、「育休を取るとしたら、2年まで延長したいと思うか」との設問では62・3%が「思う」と回答。また、育休延長を目的に「落選狙い」が起きていることについて、「落選しなければ延長できないルールが問題」としたのが64・3%といずれも過半数。一方で「本当に保育所に入りたい人に迷惑をかけている」との声も37・5%あった。 自由記載では「大切な時期に仕事をしなければならないことが疑問」と制度自体のあり方を問題視する声もあれば、「自営業なので育休もなく保育園に2年連続で落ち、本当に大変だった。ただただ迷惑」「会社にも迷惑をかけ、ひきょうな考え」と手厳しい意見もあった。 一方で、八千代市の女性は「子どものことを思って親も悩みに悩んで保育園の申し込みをしている。(育休を延長するため)今の制度では、激戦の園を一つだけ書くという方法になってしまう。『落選狙い』『不正』などと悪いことをしているように言われるのはつらい。希望したタイミングで保育園に入れることが当たり前の社会にしてほしい」と話す。