巨大地震が起こったら…避難時の「線路横断」可能に 長年の要望かなう 住民の命を守るための新たな取り組み 北海道
北海道放送(株)
2024年の能登半島地震から1年。 北海道内でも、巨大地震の発生が迫る中、課題になっているのが避難する際の「線路の横断」です。その課題の解決に光が見え始めています。 【写真を見る】避難時の「線路横断」可能に 住民の命を守るための新たな取り組み 日の出町2丁目第一町会(室蘭) 橋本正敏会長 「(住民の)命を守るいちばん最適な方法が、線路を横断して高台に逃げること。それが望みどおりかない、うれしく思う」 安どの表情を見せたのは室蘭市の東地区の町内会長、橋本正敏さんです。 この地域は巨大地震が起きた場合、最大で9メートルを超える津波、その第1波は発生から41分後に到達する想定です。 松本雅裕記者 「一帯は津波浸水想定区域ですが、目の前の高台の手前には線路があり、立ち入りは禁止されています」 町内には高い建物も踏切もなく、住民が線路の先の高台に逃げるには、東側か西側のどちらかにう回しなくてはなりません。 住民 「(う回して)膨らんで行くよりも(線路を渡れば)3分の1、4分の1の距離で行ける」 「ひっ迫した状態だったら一番近い所に逃げる。心理としてはね」 一般の人が線路に立ち入ることは、法律で禁じられています。 列車が走る時間帯と避難が重なれば、事故に遭う可能性もあります。 そうした懸念がありながらも、室蘭市と登別市の一部住民は、10年以上にわたって「災害時の線路横断」について要望を継続。 これを受け、2つの市も横断の方法や条件について、JR北海道などと協議し、去年12月、JRはそれぞれの市に横断が「可能」とする見解を伝えました。 室蘭市 青山剛市長 「地域の皆さんにとっていちばん命が助かる可能性について、我々もしっかり検証して、予算化も含めて早期に対応していきたい」 今回、横断可能とされたのは2つの市の合わせて5か所で、今後、線路沿いの柵の一部に蹴破って開けられる非常扉の設置やルール作りなどを急ぐ方針です。 日の出町2丁目第一町会(室蘭) 橋本正敏会長 「(JRから)『列車が止まりました』との連絡スタイル。線路横断の避難訓練は実施しなくてはいけない」 もしもの時に命をつなぐ道。 避難の際の線路横断を巡っては、室蘭市と登別市を含む6つの市と町がJRと協議しています。 森田絹子キャスター) 「避難の選択肢が増えるということは住民にとって心強いですが、一方で、防災の専門家からは避難訓練のしにくさ、高齢者やこどもを連れての横断に不安を指摘するような声もあがっています」 堀啓知キャスター) 「いまは、横断できるという見解が示された段階で、横断するにはJRの許可が必要です。連絡手段やその方法など課題はまだ残されています」
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