英中銀総裁、米国より先に利下げを行い得る可能性示唆-物価動向に差
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は16日、英米両国経済におけるインフレのダイナミクスは乖離(かいり)しつつあると語り、英国が米国より先に利下げを行い得る可能性を示唆した。
米国では先週、予想以上に強い物価統計が発表されており、ベイリー氏は米国には英国を上回る「需要主導型のインフレ圧力」が存在すると指摘。英国の物価上昇圧力が後退しつつある「強い証拠」があるとも述べた。
国際通貨基金(IMF)とのインタビューでベイリー氏は、「インフレのダイナミクスは、欧州と米国とではかなり異なっている」と指摘。英国では「大きな供給ショック、戦争の影響、新型コロナウイルスの影響からの回復といった過程の延長がまだ見られている」と語った。
この発言は、ベイリー氏が3月の米消費者物価統計で見られたようなインフレ圧力の再びの強まりが英国でも起こる恐れはほとんどないとみていることを示唆する。最近のインフレデータから判断して、金融当局が利下げに必要な確信を得るのにはより長い時間がかかる可能性が高いとの考えを同日示した米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長とは対照的だ。
パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばし示唆-インフレ根強く
英中銀による最初の利下げ時期について市場は現在、9月でほぼ織り込み済み。市場では、年内の利下げ幅は41ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)にとどまると見込まれている。
マン、 ハスケル、グリーン氏ら英中銀金融政策委員会(MPC)メンバーはインフレ圧力について懸念が残ると警告している。16日発表された統計では、賃金の伸びは6%と予想を上回るペースとなった一方で、失業率は予想外に上昇していることが示された。
英失業率が6カ月ぶり高水準、予想に反し上昇-雇用者数減少
エコノミストらは、17日に発表される3月のインフレ率は3.1%と、2月の3.4%から鈍化を予想する。