衆院選 いつまでも東京VS地方の構図でいいのか 幸福度見据え前向きな議論を
27日に投開票される衆院選では、少子高齢化や人口減少への対策も争点となっている。その絡みで議論になるのが東京一極集中の問題だ。深刻な人口減に直面する地方には、首都圏への若者らの流出を懸念する声が根強くある。一方で、大都市圏に人やモノが集中することで日本が発展した側面もあり、この構造を変えるのは容易ではない。識者は「幸福度」をキーワードに、東京対地方という対立図式にとらわれない議論の必要性を説く。 【表でみる】東京都の各種指標 ■国を変える 「いつの時代も国を変えるのは都の偉い人ではない。地方であり、一人一人の大衆だ」 衆院選公示日の15日。自民党の石破茂総裁は福島県いわき市内でこう訴えた。東日本大震災以降の国政選挙で、第一声の場に福島を選ぶことが多かった安倍晋三元首相や岸田文雄前首相を踏襲した格好だ。 発言のブレが指摘されている石破氏だが、地方重視の姿勢は一貫している。これに先立つ4日の所信表明では「守る」がキーワードとする5本柱の一つに「地方を守る」を据え、「新しい地方経済・生活環境創生本部」の創設を明言。地方への交付金倍増にも触れた。 ■「また悪者か」 こうした姿勢に、東京都は危機感を抱く。 8月の全国知事会では人口減少克服に向けて採択された緊急宣言に「特定の地域への人口集中」との文言が盛り込まれた。明らかに東京一極集中が人口減少の要因と解釈できる内容で、「東京対地方」という構図は知事会などで繰り返されてきた。ほかの道府県には全国で合計特殊出生率が最低の東京都に人口が集中すれば、それだけ人口減が加速しかねない、という思いがあるからだ。 石破氏の首相就任を受け、ある都幹部は「また東京が悪者にされるのか」と嘆息した。今回の衆院選でも多くの候補者が地方重視の政策を打ち出している。 統計では、東京の突出ぶりが目につく。昨年10月1日時点の総務省の人口推計によると、東京都の総人口は前の年に比べ0・34%増の1408万人。増加率は前年から0・14ポイント拡大し、都道府県別で唯一の増加となった。また都の名目GDP(都内総生産)は約113兆円。東京は国内の人口の1割以上、GDP(国内総生産)の2割以上を誇る。 ■1都3県集中