F1早期参戦の野望は成就せず。アンドレッティ・キャデラックのエントリーが却下された3つの理由
1月31日、F1はアンドレッティの2025年からのF1参入を認めないことを発表した。その”理由”はなんだろうか? 【ギャラリー】トヨタの風洞やシャーロットのファクトリーで開発が進んでいた、アンドレッティのF1マシン アンドレッティがF1参戦の意向を表明してから、F1の商業権保有者たちはそれに対してあいまいな反応しか示してこなかった。 F1のステファノ・ドメニカリCEOは長い間、11番目のチームが出場権を得るにはシリーズ全体への貢献を証明する必要があるというスタンスを貫いてきた。 F1がアンドレッティの申請を(少なくとも現時点では)却下することで、FIAがアンドレッティのF1参戦計画を昨年10月に承認してから、約3ヵ月にわたる議論に終止符を打ったことは、結局のところ特に驚きではないと言っていいだろう。 しかし、この決定が公表されるまでの経緯で最も興味をそそられるのは、F1側の回答がいかに詳細に争点の概要を述べているかということだろう。おそらく、その主張に不備があれば、法的措置を取られる危険性があることをよく理解していたのだろう。 FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)が発表した文書では、昨年10月にアンドレッティとFOMの間で書面でのやりとりがあったこと、2023年12月12日にFOMのロンドン本部で直接会って話をしたいという申し出をしたことなどが、かなり詳細に説明されている。 そして、「申請者(アンドレッティ)はこの申し出に応じなかった」とF1は述べている。 声明の全文には、アンドレッティの参戦承認に不利に働いたと思われる3つの重要な要因が記されている。
■2026年に導入される新レギュレーションによる二重の挑戦
アンドレッティが2025年の参戦を目指した背景には、F1がその翌年に大きなルール改正を控えているという事実がある。 そのためアンドレッティにとって、このタイミングは2025年のマシンと、2026年の新規定に対応したマシンを同時に準備しなければならないという大きな頭痛の種となる。 レギュレーションが落ち着き、安定を享受できるようになったタイミングで稼働を開始したいと考えるチームにとって、最適な時期とはとても言えない。 FOMは、既存チームの競争力を考慮すると、2025年と2026年のレギュレーション変更という課題の中で、アンドレッティが強力なパフォーマンスを発揮することは不可能に近いと考えた。 「設立から2年の間に、新規参入者がまったく異なる2台のマシンを製造することになることを考えると、2025年に新規申請者が承認される根拠はないと我々は考えている」とF1は述べた。 「申請者がそうすることを提案しているという事実は、その挑戦の範囲に対する彼らの理解を疑う理由になる。2026年からのエントリーはこのような特別な問題に直面することはないが、それでも世界のモータースポーツの最高峰であるF1は、申請者が過去に参戦した他のフォーミュラや種目では直面したことのない性質の、コンストラクターに対するユニークな技術的挑戦を意味する」 「そして、参戦当初は強制的なパワーユニット(PU)供給に依存しながらそれを行なうことを彼らは提案している。この点から、申請者が競争力のある参加者になるとは考えられない」