厚い壁が立ち塞がるプレミアは「1試合1試合が常に崖っぷち」(Wリーグ・日立ハイテク クーガーズ 奥山理々嘉)
「1人ひとりが負けない気持ちを前面に出し、粘ってディフェンスすること」
Wリーグ プレミアは8チームによる直接対決2連戦の前半が終わり、13勝1敗で富士通レッドウェーブが首位に立つ。昨シーズン8位でプレミアに滑り込んだアイシン ウィングスは、大型補強により5勝9敗で6位タイ。4ゲーム差で追う日立ハイテク クーガーズが1勝13敗と出遅れ、最下位で折り返す結果となった。 日立ハイテクの前半戦ラストゲームは富士通と対戦し、初戦は67-96と29点差で完敗。翌日は11点差まで巻き返したが69-80で敗れ、1勝のまま13敗目を喫した。2戦目の立ち上がり、14-2と富士通に先手を取られる。しかし、奥山理々嘉と船生晴香の連続得点から第1クォーターのラストは窪田真優が3ポイントシュートを決め、1点上回って逆転に成功。「途中で持ち直すことはできたが、やはりオフェンスがうまくいかず、それによってディフェンスもまたうまくいかない。立て続けにミスをするケースがいくつかあり、そこで波に乗り切れなかった」と日立ハイテクの柏倉秀徳ヘッドコーチは敗因を述べた。 平均13.2点で富士通を牽引するジョシュア ンフォンノボン テミトペが欠場したが、それでも80点を奪われた。平均失点84.6点はリーグ最下位。ディフェンスの課題について奥山は、「1対1でもう少しプレッシャーをかけていかなければいけなかったですし、簡単にズレを作られてしまいました。ヒデさん(柏倉ヘッドコーチ)もいろんな戦術を使ってはいますが、まずは1人ひとりが負けない気持ちを前面に出し、粘ってディフェンスすることが1番大事です」と感じており、ミスコミュニケーションによって抜かれることもまだまだ多い。 ディフェンスだけではなく、平均16.5本のターンオーバーが一番多い点も柏倉ヘッドコーチは指摘する。「技術的な問題もあるが、注意すれば防げるようなイージーミスも多い。そこは自分たちでコントロールできる部分でもある」と基本から積み上げている状況だ。平均約23歳、その半分程度が3年目以下であり、4~5年目であってもこれまでプレータイムに恵まれなかった選手も少なくない。「とにかく今は何ごとにも挑戦させ、多くの失敗が必要であり、それを繰り返さないように学んでいかなければならない。ミスを恐れず、積極的にプレーして欲しい。何かひとつのきっかけさえあれば、勝利できればなおさらだが、それによって上向いて行ける」と柏倉ヘッドコーチは経験と自信を植え付けていた。 昨シーズンは14勝12敗で白星が先行し、上位8チームとの2連戦でも3勝している。同じ対戦は1勝に終わったが、得点や失点は昨シーズンの出来と遜色ない。オフェンスにおいては平均67.5点(※上位8チームとの対戦のみ)から70.6点と3点上乗せできた。だが、勝ちに結びつけるために、ライバルたちの厚い壁を乗り越えなければならないのがプレミアの戦いでもある。奥山は「1試合1試合が常に崖っぷち。責任感やプレッシャーはすごく感じています」と昨シーズンまでとの違いを受け止めながら、貪欲に勝利をつかみに行く。