職場にいる「質問が上手な人」と「質問が下手な人」の決定的な違い
近年、「頭の回転の速さの象徴」としてお笑い芸人が多くの場面で活躍をしている。そんなあらゆるジャンルで活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏による『1秒で答えをつくる力』が人気を博している。ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちをこれまで1万人以上指導してきた本多氏の仕事に対する考え方をオリジナル記事としてお届けする。 ● 「質問が上手な人」と「質問が下手な人」の違い 仕事をしていると「質問が上手な人」もいれば「質問が下手な人」もいます。前者はどんな職場でも活躍できるでしょうが、後者はなかなかむずかしいでしょう。 そんな両者の違いはどこにあるのでしょうか。一緒に見てきましょう。 まず、質問が下手な人は「明確にしたいこと」がないのです。例として職場で仕事について上司に質問する場面で考えてみましょう。 質問が下手な人は「仕事のやり方がわからないんですけどどうしたらいいですか?」と質問をはじめてしまうのです。一見悪くないように思えますが、これだと上司は「どこまでならわかるの?」と質問の輪郭をたしかめることからはじめなければいけません。 もしこれが「〇〇はわかるんですけど、△△がわからなくて」と言われたらどうでしょうか。上司からすれば、部下の悩みがより明確になり、深いところまで会話ができるようになります。 もちろん、「どこがわからないのかわからない」こともあるかと思いますが、それならそう伝えるだけで、「全部わからないのだな」と上司は「わからないの範囲」を見定めることができます。 このようにして、質問が下手な人は明確にしたいことを伝えられていないのです。
● 質問が上手な人の特徴 対して、質問が上手な人は当然、明確にしたいことも伝えるわけですが、そのときに「どうしてそう思ったのか」も合わせて伝えるのです。 たとえば、「営業が上手な先輩を見て自分にも必要な能力だと思っていて」や「これからの時代に必要だと感じたので」など、質問の背景にある思いもしっかりと伝えることができます。 このような質問の方法だと、聞き手は「質問の意図」を理解できますから、より質問に答えやすくなるでしょう。たとえば、「そういうことなら、最終的には〇〇もできるようになろう」のように、先のことを考えて質問に答えることも可能です。かなり建設的な会話になるでしょう。 私のいるNSC(お笑い養成所)でも、優秀だなと感じる生徒は次のように意図を持って質問してくれます。 「舞台の最後列まで声が届くようにするための練習方法はありますか?」 どうでしょうか。「なんのために」「どんなことが知りたいのか」が非常に明確です。同時に、それが短い質問にまでまとまっているため、本気に考えている熱意まで伝わります。 こういった生徒が芸人としてもメキメキと力をつけていくのは言うまでもありません。 些細なことですが、一度覚えると多くの場面で役立ちますので、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。
本多正識