世界大学ランキング 英米が低迷するも、英オックスフォード大が首位を維持
英教育専門誌タイムズ・ハイヤーエデュケーション(THE)はこのほど、2025年版世界大学ランキングを発表した。それによると、米国の大学は依然として世界で圧倒的な存在であり続けてはいるものの、近年、評判が低下しつつあることが浮き彫りとなった。 THEのランキングは、世界中の高等教育機関を対象とした、最も包括的な評価の1つとして知られている。今年は昨年より185校多い、115の国と地域から2092校の大学が評価対象となった。 今年の上位10校は以下の通り。9年連続で首位に立ったのは、英オックスフォード大学だった。 1位 オックスフォード大学(英国) 2位 マサチューセッツ工科大学(米国) 3位 ハーバード大学(米国) 4位 プリンストン大学(米国) 5位 ケンブリッジ大学(英国) 6位 スタンフォード大学(米国) 7位 カリフォルニア工科大学(米国) 8位 カリフォルニア大学バークレー校(米国) 9位 インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国) 10位 エール大学(米国) 米国からは上位10校に7校が入ったほか、上位25校には16校(順にシカゴ大学、ペンシルベニア大学、ジョンズ・ホプキンス大学、コロンビア大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、コーネル大学、ミシガン大学、カーネギーメロン大学、ワシントン大学)、上位50校には23校、上位100校には38校、上位200校には55校がランクインした。 THEは教育環境(学習環境)、研究環境(研究量、収入、評判)、研究の質(論文の引用数、研究の強さ、研究の卓越性、研究の影響力)、国際的な展望(職員、学生、研究)、産業(収入、特許)の5つの項目に分類された18の指標を用いて大学を格付けしている。さらに、世界中の学者を対象に、各分野の教育と研究の両面で世界屈指だと思う大学を最大15校まで挙げてもらい、大学の評判を分析している。 今回の調査では、米国と英国の大学の評判が、教育と研究の両面で低下していることが明らかになった。米国の大学は教育で36.3%、研究で38.1%の票を得たものの、2015年のそれぞれ44.2%、46.5%と比較すると減少が著しく、過去5年間で最大の落ち込みを記録した。昨年との比較でも、米国の大学の教育への投票率は4%低下し、研究では3%低下した。英国の大学は教育で13%、研究で12.8%の票を得たが、10年前のそれぞれ18.9%、18.1%から減少している。 英米の大学の評判が低下しているのはなぜなのか? その理由の1つとして、THEは近年、評判調査の地理的範囲を拡大したことから、以前より多くの国の学者が参加するようになり、票が分散するようになったことが指摘されている。だが、それと同時にTHEは、英国の大学が評判を下げている一因として、同国の大学の予算縮小と他国の大学の予算拡大も挙げている。 英米以外の大学は教育で51%、研究で49%の票を獲得し、10年前のそれぞれ37%、35%から大幅に増加した。上昇が特に著しかったのは、中国、フランス、ドイツの大学だ。中国の大学は、教育が10年前の2.7%から7.7%に増加したほか、研究に関する票の割合も2015年の2.2%から7.3%に増加した。 THEのフィル・ベティー国際業務最高責任者は、世界の上位10校をほぼ独占している米国の一流大学がその中で比較的大きな入れ替わりをしながら激しい競争を繰り広げていると説明。その上で、米国の大学の評判は、学術関係者の間では世界最高だが、近年その低下が著しく、過去最低の水準にあると指摘した。
Michael T. Nietzel