「昼職」の女性をマッチングアプリで「彼女」に→来店初日に消費者金融で借金…「払うまで帰られへんで」悪質ホストクラブ「一撃講習」と題したマニュアルも
ホストクラブの悪質営業が社会問題となる中、ホストの知識がない女性を狙った新たな手口が明らかになった。従来は常連客にツケ払いの「売掛金」として借金させるケースが多かったが、店外で「彼女」にしてから店に誘い、初日に高額請求して消費者金融で無理やり借金させるのが特徴だ。大阪府警が摘発した大阪・ミナミのホストクラブは詳細な手順をマニュアル化していた。その巧妙な手口とは……。(平野真由) 【図表】ホストクラブのマニュアル「一撃講習」の内容。「最後に感動の演技」も呼びかけ
狙い目は「昼職」の女性
「20歳以上」「ホストの知識がない」「昼職(=昼に働く職業)」――。
これらは、府警南署が9月に摘発したミナミのホストクラブ「 Aria(アリア)」のマニュアルに記されていた客として狙う女性の条件だ。
同店のホストだった藤咲湧斗被告(24)は、兵庫県内の20歳代の女性ら2人に消費者金融で借金をさせ、計約270万円を脅しとったとして、9月に恐喝容疑で2度逮捕され、その後起訴された。
府警によると、いずれの被害女性も、藤咲被告とマッチングアプリで知り合い、自身を「彼女」と思い込んでいた。藤咲被告はホストであることを明かしていたが、「店には呼ばない」などと話していたという。
しかし、兵庫県の女性は知り合った翌月の昨年6月に居酒屋でデートした際、「ホストクラブのミーティングに遅刻する。同伴してくれれば罰金は免れる」などと言われ、初めて店についていった。店で酔わされた後、藤咲被告にホテルに連れて行かれ、こう迫られたという。
「払うまで帰られへんで」
マニュアル「一撃講習」に追い込む手順、「証拠は絶対に残さない」
府警は店長の沢井健太容疑者(37)ら2人を藤咲被告と共謀したとして逮捕。押収した「一撃講習」などと題したマニュアルに、女性を追い込む手順が記されていた。
狙いをつけた女性を自身の「彼女」にした上で、▽来店しやすい条件で店に誘う▽正常な判断が不可能なほど酔わせる▽消費者金融で複数社から一斉に借り入れさせる――。「 一見(いちげん)客としてその日に最大限絞り出す」とも書かれ、狙いの女性を探す手段としてマッチングアプリが使われていた。