京阪線の「要衝」枚方市駅、知らない間に大変貌 本線と交野線に挟まれた三角地帯に再開発ビル
■新旧のビルが建ち並ぶ駅前 2階には東改札口と中央改札口。改札内にミニスーパーマーケットやベーカリー、スイーツなどの「もより市」、中央改札口の向かいは京阪百貨店ひらかた店で無印良品が入っている。 南側のロータリーを囲むペデストリアンデッキは「ひらかたサンプラザ」の1号館と3号館、近鉄百貨店が入っていた2号館の跡地に建つ「枚方T-SITE」といった駅前のビルと直結している。T-SITEは同地で創業した蔦屋書店や、銀行、スーパーマーケット「ライフ」などの店舗が入っていて、駅周辺は通勤通学時間帯もにぎわっている。
駅1階には南北に道路が通り、北口にも南口にもバスのりばがある。北口からは、淀川対岸の高槻市や茨木市にある阪急・JRの駅とを結ぶバスなどが発着。とくに阪急高槻行きは平日7時台だけで12便が発車する。市立ひらかた病院前、関西外大中宮キャンパス方面のバスも北口から出ている。一方、南口には香里ケ丘を経由する枚方公園駅前行きや京阪香里園行きのバスのりばがある。 駅周辺はガラス張りのT-SITEのほかは、やや年季の入ったビルが建ち並んでいたが、最近になってその風景が大きく変わった。京阪本線と交野線、天野川に挟まれた三角地帯に複合施設「ステーションヒル枚方」が5月末に竣工した。
京阪ホールディングス(HD)が参画する再開発プロジェクトの一環。超高層ビルの最上階に露天風呂を備えたホテルやオフィス、賃貸住宅などで構成する。 低層部には既存の高架下商業施設と一体になった東改札口直結の「枚方モール」が9月6日にグランドオープン。9月17日には5階に市民窓口センターや図書館などの行政フロアが開設された。 ■京阪電車の本社機能が一部移転 三角地帯にはかつて研修所など京阪電車の事務所があった。枚方市駅を管轄する枚方エリアの谷口悟駅長は1985年入社。淀屋橋・北浜・天満橋の駅員を皮切りに車掌、運転士、助役とキャリアを積んできた。「枚方は入社したときや、車掌・運転士になるために毎日頑張って勉強をした思い出の地」と話す。
「ステーションヒルの開業で全体的にお客さまの数が増え、人の流れも変わりました。北口では再開発工事が続いていて、それが完成すればもっと変わりそうで楽しみやな、と思っています」 京阪HDは大阪・天満橋の「OMM」に本社を置いているが、傘下の京阪電気鉄道は経営企画部、安全推進部などの鉄道部門の本社機能をステーションヒル枚方に移転、9月13日から新事務所での業務を開始した。 枚方市駅は大阪と京都のどちらにもアクセスしやすい立地を武器に新たなスタートを切ったばかりだ。
橋村 季真 :東洋経済 記者