一体なぜ?井上尚弥の“名参謀”が明かすドヘニーをまさかの「右足が使えない」“歩行困難”に追い込んで7回TKO勝利した理由とは?
2ラウンドにはワンツーの右ストレートがドヘニーの右の胸あたりを直撃して、上半身がロープの間から飛び出るほどの衝撃を与えていた。6ラウンドにはコーナーに詰めてボディショットを連発で叩き込んだ。歩行困難でギブアップという珍しい結末は、ある意味、計算されたもの。決してアクシデントではなかったのである。 ただファンが期待したダウンシーンは演出できなかった。3、4ラウンドは3人のジャッジのうち2人がドヘニーを支持していた。筆者は「いつもの井上ではなかった」と感じた。 今回の井上の当日体重は62.7キロ。55.34キロのリミットから約7キロも増量した。キャリア最重量だ。一方のドヘニーは66.1キロで約11キロもでかくなっていた。体重差は約4キロ。 井上は「ドヘニーが10キロ以上戻すなら、スピード勝負はない。こっちが8キロ増えてスピードが落ちても対応できる。その計算で増やした」というが、筆者はそれが「出来の悪さ」の原因のように考えていた。 その話を井上にぶつけた。 「個人の意見。本郷さんが出来が悪かったと思ったのならそれで“よし”ですよ」 井上は、こちらの失礼な意見を笑って受け止め、こう続けた。 「でも出来は悪くなかった。動き的にスピード、キレも悪くなかった。体重が昨日のパフォーマンスに影響したかと言えば、そうは思わない。あれは(ドヘニーが)ああいうボクシングをしてきたから。名勝負と呼ばれるような紙一重の試合になると、数百グラムが左右するけれど、昨日の影響は微々たるもの」 そして「名勝負、ボクシングは相手があってこそ盛り上がるスポーツ。相手が塩(試合)に徹したら、そりゃあ、ああなりますよ」と嘆いた。 「そういうスタイルでくるならしょうがない。それをどう崩して倒すか。ただ日本に来て高いファイトマネーを受けとって倒されないで終わろうと考えていたのなら寂しい。やっていてつまんないですよ」 それが井上の本音。 次戦は米専門サイト「ボクシングシーン」が明かしたところによると12月24日に都内でWBO&IBF1位のサム・グッドマン(豪州)との対戦が有力視されている。井上が「正統派のボクサー」と見ている19戦無敗(8KO)の右構えのボクサーファイター。 「2週間休みます。体力的には問題ないが、精神的な部分もあるのでリセットしてから新たな気持ちで12月にむけて頑張りたい」 モンスターは真吾トレーナーから「休養は2日の間違い?」と突っ込まれて苦笑いしていた。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
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