1リッターで30円近くも高いケースがあるけどなんで!? 陸の孤島でもないのに高速道路のガソリン価格が街中より「かなり高額」な理由
高速道路のガソリンはなぜ高い?
昔から、高速道路のサービスエリア(SA)にある給油所のガソリン価格は、市中より高いといわれている。したがって、高速道路を利用する前にあらかじめ給油して備えたほうがいいというのは、長距離移動におけるひとつの知恵だ。 【画像】セルフの給油所で追い給油やチョビチョビ給油はやってはいけないNG事項だった では、なぜ、高速道路のSAのガソリン価格は高いのか? まず、市中のように近隣に競合店がないので、価格設定に競争原理が働きにくい。 同時に、市中には、店舗の所有者が自分の土地で営業している場合もあり、賃貸料を払わなくてもよいぶん安くできるし、借地での営業でも、都市部でなければ地代が安く上がる可能性がある。一方で、高速道路のSAは、付帯するほかの店舗など含め、高速道路会社へ権利金を支払わなければならず、金額の交渉の余地はほとんどないといえる。 また、SAの給油所へガソリンを納入するタンクローリーは、高速道路料金を支払って移動するので、一般道より運搬経費が高くつくことも考えられる。 次に、SAでは、オイル交換や、パンク修理といった整備作業を依頼されることがときにあっても、ほとんどが燃料の給油で収益を上げなければならず、燃料単品での商売に近いので、そこで確実な利益を得るためには、ガソリン代を引き下げることは簡単にはしにくい。 最後に、SAの給油所は、高速道路を通行するクルマがある以上、24時間営業していなければ、高速道路上でガス欠してしまうクルマを出しかねないという、ある種の安全保障的な存在であり、拠点である。しかも、セルフサービスにしてしまったのでは、給油作業が不得手だったり出来なかったりする人に対し、給油できないことにもなるので、人手は欠かせない。簡単にいえば、人件費という経費を節約するのが難しい。 逆に、SAの給油所のほうが市中よりガソリン価格が安くなったという事態もじつは起きている。これは、ガソリン価格が短期間に乱高下した場合、その価格調整に追い付けず、原油価格の上昇や為替の変動で、ガソリン価格が上がったことに対し、すぐに価格調整できない場合、SAのほうが安くなることがある。かつて、価格の上限が定められていたことがあり、市中はそれに構わず値上げをしたが、SAではそれができなかったということもあった。そこで、いまは価格の上限が撤廃されている。 いずれにしても、SAのガソリンスタンドは一般的な商習慣を基にした競争原理が働きにくく、必ず給油できる場所であることが条件づけられることから、ガソリン価格は市中より高い傾向となる。
御堀直嗣